方針
(1) ∣α∣=1 なら αn と α−n の一方が指数的に大きくなることを逆三角不等式で示す。(2) 単位円上の表示に直し、m=1,2,3 の場合分けを行う。
解答
(1) r=∣α∣>0 とおく。もし r>1 なら、逆三角不等式より∣an∣=∣αn+α−n∣≧rn−r−n.右辺は n を大きくすると2を超えるので、すべての自然数 n で ∣an∣<2 という仮定に反する。
もし 0<r<1 なら同様に∣an∣≧r−n−rnが大きな n で2を超え、やはり矛盾する。従って∣α∣=1である。
(2) α=cosθ+isinθ とおくとam=2cosmθ.従って ∣cosmθ∣>1/2 となる自然数 m を見つければよい。
∣cosθ∣>1/2 なら m=1 でよい。そうでなければ、余弦の絶対値の周期性から3π≦θ≦32πとしてよい。この範囲では ∣cos2θ∣≧1/2 であり、端点以外では不等号は厳密だから m=2 でよい。端点 θ=π/3,2π/3 では∣cos3θ∣=1なので m=3 でよい。
以上より常に∣am∣=2∣cosmθ∣>1となる自然数 m が存在する。
別解
解法2(チェビシェフ型の代数計算)
方針
(1) は逆三角不等式で単位円上にあることを示す。
(2)は c=cosθ とおき、2倍角・3倍角を使って
m=1,2,3 のいずれかで厳密不等号が成立することを代数的に証明する。
解答
(1)
r=∣α∣ とする。r>1 なら∣an∣≧rn−r−n⟶∞,0<r<1 なら∣an∣≧r−n−rn⟶∞.いずれもすべての n で ∣an∣<2 という仮定に反する。従って∣α∣=1.(2)
α=eiθ、c=cosθ とおくとam=2cosmθ.∣c∣>1/2 なら m=1 でよい。そうでないとする。
∣2c2−1∣>1/2 なら、cos2θ=2c2−1 より m=2 でよい。
これも成り立たないなら∣c∣≦21,∣2c2−1∣≦21から c2=1/4 となる。3倍角の公式よりcos3θ=4c3−3c=−2c,従って∣a3∣=2∣cos3θ∣=2>1.以上より条件を満たす自然数 m が必ず存在する。
総評
難度6、計算量4。第(1)問では大きな (n) の存在を逆三角不等式で保証し、第(2)問では厳密不等号のため端点を別扱いする。 答案では結論だけでなく、等号・端点・定義域を明示し、各変形の根拠が追える構成にした。 標準解答と独立した別解を併記し、必要性・十分性、端点、等号条件を確認した。積分・総和・極限は独立行に置き、主要な分数は表示サイズで組版した。
冊子PDFで見る京大の複素数平面の問題で問題集を作る
出典: 京都大学 2000年度 後期 理系 第5問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。