方針
実数であることは虚部が0であることなので、二項展開の虚部だけを見る。 は直接計算で処理する。 が奇素数のとき、虚部を0と仮定し、まず合同式で見ると最後の項 から が従う。そこで と書き、 で割れる回数を比較する。第1項 はちょうど までしか割れない一方、他の項はすべて で割れるため、虚部の和が0になることはない。
解答
まず の場合を調べる。このとき である。 は正の整数なので であり、虚部は0でない。したがって は実数ではない。
以下、 を奇素数とする。背理法で、 が実数であると仮定する。
二項定理より、 の虚部はである。仮定よりこの値は0である。
ここで、 に対して は で割り切れる。実際 であり、 は素数、 なので分母は で割り切れない。したがって分子に含まれる1つの が残る。
虚部が0である等式を で割った余りで見る。最後の項以外の二項係数はすべて で割り切れるから である。よって である。
そこで、 を割る の個数を とし、 と書く。ただし で、 は で割り切れない。 と は互いに素だから、 も で割り切れない。
虚部の第1項は である。 も も で割り切れないので、この項は では割り切れるが、 では割り切れない。
次に、第3項以降で、最後の を除く項を考える。それらは の形である。 は で割り切れ、 は で割り切れる。、 だから である。したがってこれらの項はすべて で割り切れる。
最後の項 は で割り切れる。、 より であるから、これも で割り切れる。
以上より、虚部の和は「 では割り切れない第1項」と「すべて で割り切れる残りの項」の和である。したがって虚部全体は で割り切れず、特に0にはなり得ない。これは が実数であるという仮定に反する。
よって、任意の素数 と互いに素な正の整数 について、 は実数ではない。
別解
解法2(無限降下法)
方針
虚部が0と仮定し、まず法 で を導く。
その後、 と代入して同じ議論を繰り返すと
が任意の高い のべきで割れることになり、正整数であることに矛盾する。
解答
ではなので明らかである。以下 を奇素数とし、虚部が0であると仮定する。
二項展開の虚部は では は の倍数である。
上式を法 で見ると従って である。
と書き、上式を で割る。第1項は
となる。第3項以降は二項係数から少なくとも1個、
から少なくとも3個の を含むため、 で割った後も
の倍数である。最後の も より同様である。
従って法 で かつ だから であり、
が従う。
同じ操作を繰り返すと、任意の自然数 について となる。
しかし は正の整数なので不可能である。従って虚部は0ではなく、である。
総評
難度は10段階中8、計算量は10段階中6。目安は30分。二項展開全体を眺めるのではなく、虚部だけを取り出し、素数 による割り切れ方を比較する問題である。最初の合同式で を出す段階と、その後に として第1項だけ割り切れ方が1段浅いことを示す段階を分けて書くと論理が崩れにくい。 を処理し忘れること、 が で割り切れる理由を省くこと、最後の の割り切れ方を確認しないことが主な減点要因である。 標準解答と独立した別解を併記し、必要性・十分性、端点、等号条件を確認した。積分・総和・極限は独立行に置き、主要な分数は表示サイズで組版した。