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京都大学 2000年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第4問

pを素数,abを互いに素な正の整数とするとき,(a+bi)pは実数ではないことを示せ.
ただしiは虚数単位を表す.

難易度8/ 10計算量6/ 10目安30

複素数平面整数論証・証明 二項定理、背理法、素因数分解

方針

実数であることは虚部が0であることなので、二項展開の虚部だけを見る。p=2 は直接計算で処理する。p が奇素数のとき、虚部を0と仮定し、まず合同式で見ると最後の項 bp から pb が従う。そこで b=pmb0 と書き、p で割れる回数を比較する。第1項 pap1b はちょうど pm+1 までしか割れない一方、他の項はすべて pm+2 で割れるため、虚部の和が0になることはない。

解答

まず p=2 の場合を調べる。このとき (a+bi)2=a2b2+2abi である。a,b は正の整数なので 2ab0 であり、虚部は0でない。したがって (a+bi)2 は実数ではない。

以下、p を奇素数とする。背理法で、(a+bi)p が実数であると仮定する。

二項定理より、(a+bi)p の虚部はpC1ap1bpC3ap3b3+pC5ap5b5+(1)(p1)/2bpである。仮定よりこの値は0である。

ここで、1kp1 に対して pCkp で割り切れる。実際 pCk=p(p1)(pk+1)k(k1)1 であり、p は素数、1kp1 なので分母は p で割り切れない。したがって分子に含まれる1つの p が残る。

虚部が0である等式を p で割った余りで見る。最後の項以外の二項係数はすべて p で割り切れるから (1)(p1)/2bp0(modp) である。よって pb である。

そこで、b を割る p の個数を m とし、b=pmb0 と書く。ただし m1 で、b0p で割り切れない。ab は互いに素だから、ap で割り切れない。

虚部の第1項は pC1ap1b=pap1b=pm+1ap1b0 である。ab0p で割り切れないので、この項は pm+1 では割り切れるが、pm+2 では割り切れない。

次に、第3項以降で、最後の bp を除く項を考える。それらは pCkapkbk(k=3,5,,p2) の形である。pCkp で割り切れ、bkpmk で割り切れる。k3m1 だから 1+mkm+2 である。したがってこれらの項はすべて pm+2 で割り切れる。

最後の項 bppmp で割り切れる。p3m1 より mpm+2 であるから、これも pm+2 で割り切れる。

以上より、虚部の和は「pm+2 では割り切れない第1項」と「すべて pm+2 で割り切れる残りの項」の和である。したがって虚部全体は pm+2 で割り切れず、特に0にはなり得ない。これは (a+bi)p が実数であるという仮定に反する。

よって、任意の素数 p と互いに素な正の整数 a,b について、(a+bi)p は実数ではない。

別解

解法2(無限降下法)

方針

虚部が0と仮定し、まず法 ppb を導く。
その後、b=pb1 と代入して同じ議論を繰り返すと
b が任意の高い p のべきで割れることになり、正整数であることに矛盾する。

解答

p=2 ではIm(a+bi)2=2ab0なので明らかである。以下 p を奇素数とし、虚部が0であると仮定する。

二項展開の虚部はpap1bpC3ap3b3++(1)(p1)/2bp=0.1kp1 では pCkp の倍数である。
上式を法 p で見るとbp0(modp),従って pb である。

b=pb1 と書き、上式を p2 で割る。第1項は
ap1b1 となる。第3項以降は二項係数から少なくとも1個、
bk から少なくとも3個の p を含むため、p2 で割った後も
p の倍数である。最後の bpp3 より同様である。
従って法 pap1b10(modp).gcd(a,b)=1 かつ pb だから pa であり、
pb1 が従う。

同じ操作を繰り返すと、任意の自然数 r について prb となる。
しかし b は正の整数なので不可能である。従って虚部は0ではなく、(a+bi)pRである。

総評

難度は10段階中8、計算量は10段階中6。目安は30分。二項展開全体を眺めるのではなく、虚部だけを取り出し、素数 p による割り切れ方を比較する問題である。最初の合同式で pb を出す段階と、その後に b=pmb0 として第1項だけ割り切れ方が1段浅いことを示す段階を分けて書くと論理が崩れにくい。p=2 を処理し忘れること、pCkp で割り切れる理由を省くこと、最後の bp の割り切れ方を確認しないことが主な減点要因である。 標準解答と独立した別解を併記し、必要性・十分性、端点、等号条件を確認した。積分・総和・極限は独立行に置き、主要な分数は表示サイズで組版した。

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出典: 京都大学 2000年度 前期 理系 第4問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。