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京都大学 2000年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第5問

数列{cn}を次の式で定める.cn=(n+1)01xncosπxdx(n=1,2,)このとき

(1) cncn+2の関係を求めよ.

(2) limncnを求めよ.

(3) (2)で求めた極限値をcとするとき,limncn+1ccncを求めよ.

難易度8/ 10計算量7/ 10目安35

積分数列 部分積分、漸化式の変形極限計算

方針

In=01xncosπxdx とおき、部分積分を2回行って In+2In で表す。cn=(n+1)In に戻せば(1)が得られる。(2)は、重み (n+1)xnx=1 付近に集中することを示し、連続関数 cosπx の端点値 1 に収束させる。(3)は dn=cn+1 として、1+cosπx=1cos{π(1x)}(1x)2 と同じ大きさで0に近づくことを、sinu/u1 から評価し、dn の主項を求める。

解答

(1) In=01xncosπxdx とおく。まず In+2=01xn+2cosπxdx を部分積分する。sinπxx=0,1 で0だからIn+2=[xn+2sinπxπ]01n+2π01xn+1sinπxdx=n+2π01xn+1sinπxdxである。さらに01xn+1sinπxdx=[xn+1cosπxπ]01+n+1π01xncosπxdx=1π+n+1πInである。したがって In+2=n+2π2(n+2)(n+1)π2In となる。 cn=(n+1)Incn+2=(n+3)In+2 であるからcn+2=(n+3){n+2π2(n+2)(n+1)π2In}=(n+2)(n+3)π2{1+(n+1)In}=(n+2)(n+3)π2(1+cn)である。よって cn+2=(n+2)(n+3)π2(1+cn) が求める関係である。

(2)
次の事実を用いる。φ(x)[0,1] で連続なら (n+1)01xnφ(x)dxφ(1) である。理由を確認する。0<δ<1 とすると、0x1δ では xn(1δ)n なので、この部分の寄与は n(1δ)n の定数倍で0に近づく。一方、1δx1 では、δ を十分小さく取れば φ(x)φ(1) にいくらでも近くなる。また (n+1)01xndx=1 であるから、上の収束が従う。

ここで φ(x)=cosπx とすれば φ(1)=1 である。したがってlimncn=limn(n+1)01xncosπxdx=1である。よって c=1 である。

(3) dn=cn+1 とおく。(2)より dn0 であり、求める極限は limndn+1dn である。また dn=(n+1)01xn(1+cosπx)dx である。 x が1に近いときの 1+cosπx を調べる。 1+cosπx=1cos{π(1x)}=2sin2(π(1x)2) である。u0 のとき sinu/u1 だから limx11+cosπx(1x)2=π22 である。

したがって、任意の正数 ε に対し、x が十分1に近ければ(π22ε)(1x)21+cosπx(π22+ε)(1x)2が成り立つ。1から離れた範囲 0x1δ の積分は、(1δ)n の定数倍で抑えられ、下の量 (n+1)01xn(1x)2dx に比べても0に近づく。実際、後者は(n+1)01xn(1x)2dx=(n+1)(1n+12n+2+1n+3)=2(n+2)(n+3)であるから、指数的に小さい項は無視できる。

以上より dn(n+1)01xn(1x)2dxπ22 である。すなわちdnπ222(n+2)(n+3)=π2(n+2)(n+3)である。したがって dn+1dn(n+2)(n+3)(n+3)(n+4)1 である。

よって limncn+1ccnc=1 である。

別解

解法2(端点の拡大による漸近評価)

方針

x=1y/(n+1) と端点近傍を拡大し、重み
(n+1)xn が指数関数 ey に近づくことを見る。
(2)は端点値、(3)は 1+cosπx の2次近似から主項を得る。
有限区間と尾部を分けて極限交換の根拠も補う。

解答

(1) In=01xncosπxdx とおく。部分積分を2回行うとIn+2=n+2π2(n+2)(n+1)π2In.cn=(n+1)Incn+2=(n+3)In+2 を代入してcn+2=(n+2)(n+3)π2(1+cn).(2)cn=(n+1)01xncosπxdxx=1y/(n+1) とおくとcn=0n+1(1yn+1)ncos(ππyn+1)dy.固定した y について被積分関数は ey に収束する。
0y(n+1)/2 では(1y/(n+1))neny/(n+1) と抑えられ、
残りの区間の寄与も指数的に小さい。従ってlimncn=0eydy=1.よって c=1 である。

(3) dn=cn+1=(n+1)01xn(1+cosπx)dx.同じ置換によりdn=0n+1(1yn+1)n{1cosπyn+1}dy.固定した y では1cosπyn+1π2y22(n+1)2.上と同じ指数評価で尾部を抑えると(n+1)2dnπ220y2eydy=π2.従ってdnπ2(n+1)2,dn+1dn1.すなわちlimncn+1ccnc=1.

総評

難度は10段階中8、計算量は10段階中7。目安は30分から35分。部分積分の符号、特に cosπ=1 によって境界項が正になる箇所が第1の注意点である。第2問は端点集中の標準事実をそのまま使えるが、第3問では 1+cosπxx=1 で2次の速さで0になるため、単なる連続関数の極限だけでは足りない。1+cosπx=2sin2(π(1x)/2)(n+1)xn(1x)2dx の正確な値を使うと、比の極限まで無理なく届く。 標準解答と独立した別解を併記し、必要性・十分性、端点、等号条件を確認した。積分・総和・極限は独立行に置き、主要な分数は表示サイズで組版した。

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出典: 京都大学 2000年度 前期 理系 第5問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。