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京都大学 2002年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第2問

半径1の円周上に相異なる3点 A,B,C がある.

(1) AB2+BC2+CA2>8 ならば ABC は鋭角三角形であることを示せ.

(2) AB2+BC2+CA29 が成立することを示せ.
また,この等号が成立するのはどのような場合か.

難易度6/ 10計算量5/ 10目安17

図形と方程式論証・証明 三角比の利用不等式評価、場合分け

方針

外接円の半径が1なので、辺の長さを BC=2sinA, CA=2sinB, AB=2sinC と表す。すると辺の2乗和は 4(sin2A+sin2B+sin2C) になり、恒等式 sin2A+sin2B+sin2C=2+2cosAcosBcosC により 8+8cosAcosBcosC と整理できる。(1) は積が正なら三角形が鋭角であることを示す。(2) は鈍角・直角の場合と鋭角の場合に分け、鋭角の場合は固定した A に対する cosBcosC の上限から積を 1/8 以下に抑える。

解答

(1) 三角形 ABC の内角をそれぞれ A,B,C とする。外接円の半径が1であるから、正弦定理より BC=2sinA,CA=2sinB,AB=2sinC である。したがって AB2+BC2+CA2=4(sin2A+sin2B+sin2C) である。

ここで、三角形の角について sin2A+sin2B+sin2C=2+2cosAcosBcosC が成り立つ。実際、C=πAB として加法定理で整理すれば得られる恒等式である。よって AB2+BC2+CA2=8+8cosAcosBcosC である。

(1) 仮定より AB2+BC2+CA2>8 だから、上の式から cosAcosBcosC>0 である。

三角形の内角のうち、鈍角または直角は高々1つである。もし1つが鈍角なら、その余弦は負で、残り2つの余弦は正なので積は負になる。もし1つが直角なら積は0になる。いずれも上の正の条件に反する。したがって3つの余弦はすべて正であり、A<90,B<90,C<90 である。よって ABC は鋭角三角形である。

(2) まず ABC が鋭角三角形でない場合を考える。このとき少なくとも1つの余弦が0以下で、残りの余弦の積を考えても cosAcosBcosC0 である。したがって AB2+BC2+CA28<9 である。

次に ABC が鋭角三角形の場合を考える。このとき cosA,cosB,cosC はすべて正である。B+C=πA よりcosBcosC=cos(B+C)+cos(BC)2=cosA+cos(BC)2である。cos(BC)1 だから cosBcosC1cosA2=sin2A2 となる。よってcosAcosBcosCcosAsin2A2=cosA(1cosA)2である。 0<cosA<1 とおき、t=cosA とすれば t(1t)218 である。等号は t=12 のときである。したがって cosAcosBcosC18 であり、AB2+BC2+CA2=8+8cosAcosBcosC9 が示された。

等号が成り立つには、上の不等式で等号がすべて成り立つ必要がある。すなわち cos(BC)=1,cosA=12 である。前者より B=C、後者より A=60 である。さらに B+C=120 だから B=C=60 となる。したがって等号成立は A=B=C=60、すなわち3点 A,B,C が円に内接する正三角形の頂点である場合に限る。

別解

解法2

方針

円の中心を原点とし、3点の位置ベクトルを単位ベクトルで表す。
(1) は鋭角でない場合の対偶を、最長辺と直径2から示す。
(2) は3辺の2乗和を3本の位置ベクトルの和の長さへ変形すると、
非負性だけで上界9と等号条件が同時に得られる。

解答

(1)
ABC が鋭角でないと仮定し、最長辺を AB とする。
余弦定理より、対角 C が直角または鈍角であることからAB2BC2+CA2.また半径1の円の弦なので AB2。よってAB2+BC2+CA22AB28.対偶により、3辺の2乗和が8より大きければ三角形は鋭角である。

(2)
円の中心を原点とし、A,B,C の位置ベクトルを
u,v,w とする。いずれも長さ1であるからAB2+BC2+CA2=uv2+vw2+wu2=9u+v+w29.等号は u+v+w=0 のときに限る。
このときu+v=wの両辺の長さを比較して uv=1/2 を得る。
循環的に他の内積も 1/2 となるため、3つの中心角はすべて
120、すなわち ABC は正三角形である。逆も明らかなので、
等号成立は3点が正三角形の頂点をなす場合に限る。

総評

難度は10段階中6、計算量は5。目安時間は17分。解法1は本番答案として再現しやすい標準方針、解法2は構造を別方向から確認する方針である。

(1) は対偶なら最長辺と直径だけで短く示せる。(2) はベクトル恒等式を使うと上界と等号条件が同時に得られ、正三角形への逆向きも明確になる。

採点では、必要条件だけで止めず十分性・端点・小問番号を明示する。積分・総和・極限は独立行、分数は読みやすい表示寸法に統一し、問題固有の図は論理を補助する位置に置いた。

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出典: 京都大学 2002年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。