方針
α=x+yi と置くと、it+1+α=(x+1)+(y+t)i である。t が実数全体を動くとき、実部は x+1 に固定され、虚部だけが自由に動く。したがってこの点は複素平面上の縦直線を動く。条件は、その縦直線が原点中心半径1の円板と交わることに等しいので、直線と原点との距離が1以下である条件 ∣x+1∣≦1 に直す。
解答
α=x+yi とおく。このとき it+1+α=it+1+x+yi=(x+1)+(y+t)i である。 t が実数全体を動くと、実部 x+1 は変わらず、虚部 y+t はすべての実数値を取り得る。したがって点 it+1+α は、複素平面上の直線 X=x+1 上を動く。
条件 ∣it+1+α∣≦1 を満たす実数 t が存在することは、この直線が原点中心、半径1の円板と共有点をもつことと同値である。縦直線 X=x+1 と原点との距離は ∣x+1∣ であるから、必要十分条件は ∣x+1∣≦1 である。
これを整理すると −1≦x+1≦1 すなわち −2≦x≦0 である。よって求める範囲は、複素平面上で −2≦Reα≦0 を満たす縦の帯状領域である。境界直線 Reα=−2 および Reα=0 も含む。
別解
解法2(絶対値を直接最小化)
方針
α=x+yi と置き、絶対値の二乗を t の2次式として最小化する。最小値が1以下となる条件を求める。
解答
α=x+yi とおくと∣it+1+α∣2=(x+1)2+(y+t)2.t は任意の実数を取れるから、右辺は t=−y のとき最小となり、その最小値は (x+1)2 である。したがって、絶対値が1以下となる t が存在するための必要十分条件は(x+1)2≦1.すなわち−2≦x≦0である。よって求める領域は−2≦Reα≦0で表される境界を含む縦の帯である。
総評
難度4、計算量2。目安時間は8〜12分。t が動かすのは虚部だけであり、実部は x+1 に固定される。このため、複素数の絶対値不等式は「縦直線が単位円板と交わるか」という図形問題になる。∣x+1∣≦1 から縦の帯 −2≦Reα≦0 が出る。図示では境界を含むことを明確にし、α 自体ではなく it+1+α が動く点であることを混同しないようにしたい。
冊子PDFで見る京大の複素数平面の問題で問題集を作る
出典: 京都大学 2004年度 後期 文系 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。