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京都大学 2007年度 前期日程 第2次学力試験理系(乙)数学 第6問

すべての実数で定義され何回でも微分できる関数f(x)f(0)=0,f(0)=1を満たし、さらに任意の実数a,bに対して1+f(a)f(b)0,f(a+b)=f(a)+f(b)1+f(a)f(b)を満たしている。

(1) 任意の実数aに対して1<f(a)<1であることを証明せよ。

(2) y=f(x)のグラフはx>0で上に凸であることを証明せよ。

難易度7/ 10計算量4/ 10目安25

関数微分論証・証明 特殊化、範囲評価、対称性の利用、小問利用

方針

(1) ではa=bとして倍角型の式を得る。右辺の絶対値が1以下であることと、等号を仮定すると引数を半分にし続けてf(0)=0に矛盾することを使う。(2)では加法公式を一方の変数で微分し、f=1f2を導く。

解答

(1) 加法公式で a=b=x とするとf(2x)=2f(x)1+f(x)2である。任意の実数 u に対して1(2u1+u2)2=(u21)2(1+u2)20だから2u1+u21である。任意の実数 a に対し x=a/2 とすれば、これより f(a)1 を得る。

等号が成り立つと仮定する。例えば f(a)=1 なら、上の不等式の等号条件から f(a/2)=1 である。同様に繰り返すとf(a2n)=1が全ての自然数 n で成り立つ。しかし a/2n0 であり f は連続だから、左辺は f(0)=0 に収束し、矛盾する。f(a)=1 の場合も同様である。よって1<f(a)<1である。

(2) 加法公式をbについて微分するとf(a+b)=f(b){1f(a)2}{1+f(a)f(b)}2.ここでb=0とし、f(0)=0, f(0)=1を用いるとf(a)=1f(a)2を得る。(1)よりf(a)>0であるから f は単調に増加する。特に x>0 では f(x)>f(0)=0 である。

さらに f(x)=1f(x)2 を微分するとf(x)=2f(x)f(x).x>0 では f(x)>0 かつ f(x)>0 なのでf(x)<0.したがって y=f(x) のグラフは x>0 で上に凸である。

導かれる式f=1f2から、増加性とf=2ff<0が同時に分かる。

別解

解法2(関数を明示的に求める)

方針

加法公式を微分してf=1f2を得る。変数分離して初期条件を使えばfを指数関数で明示できる。その式から値域と2階導関数の符号を直接確認する。

解答

(1)

加法公式でa=b=x/2とおき、u=f(x/2)とするとf(x)=2u1+u2.したがって1f(x)2=(u21)2(1+u2)20であり、f(x)1である。

もしf(x)=1なら等号条件からf(x/2)=1であり、同じ議論を繰り返すとf(x2k)=1がすべての正の整数kで成り立つ。しかしx/2k0であり、fの連続性とf(0)=0に反する。よって1<f(x)<1である。

次に加法公式をbで微分し、b=0とするとf(x)=1f(x)2.(1)(1)で示した不等式により分母は0にならないので、(1)を変数分離するとdf1f2=dx.左辺を部分分数に分けてf(0)=0を用いると12log1+f(x)1f(x)=x.したがって1+f(x)1f(x)=e2x,f(x)=e2x1e2x+1.(2)(2)の分母は正であり1<e2x1e2x+1<1だから(1)が成り立つ。

(2)

またx>0ではf(x)>0である。(1)からf(x)=1f(x)2>0であり、さらにf(x)=2f(x)f(x)<0.よってy=f(x)のグラフはx>0で上に凸である。

総評

難度7、計算量4。倍角式から値域を直接絞り、等号は引数を半分にし続けて連続性と矛盾させる。加法公式の微分からf=1f2を得る方法と、さらに積分してf=(e2x1)/(e2x+1)を明示する方法を収録した。後者でも既知の双曲線関数は使わず高校数学内で完結する。20分から25分が目安である。

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出典: 京都大学 2007年度 前期 数学(理系(乙))(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。