方針
(1) は内心の角公式∠BPC=2π+2Aを用いる。必要なら,BP,CPが角の二等分線であることから三角形BPCの角の和で導ける。(2)は外接円半径Rと内接円半径rの公式r=4Rsin2Asin2Bsin2Cを用いる。A=π/3,B+C=2π/3と鋭角条件π/6<B,C<π/2から,(B−C)/2の範囲を決め,r=cos2B−C−1/2の範囲を出す。
解答
(1)
内心Pは角の二等分線の交点であるから ∠PBC=2B,∠PCB=2C である。三角形BPCの内角の和より ∠BPC=π−2B−2C である。ここで B+C=π−A だから ∠BPC=π−2π−A=2π+2A である。A=π/3より ∠BPC=2π+6π=32π である。
(2)
外接円半径をR,内接円半径をrとすると r=4Rsin2Asin2Bsin2C である。いまR=1,A=π/3なのでr=4⋅1⋅sin6πsin2Bsin2C=2sin2Bsin2Cである。
積和公式を用いると 2sin2Bsin2C=cos2B−C−cos2B+C である。B+C=2π/3より cos2B+C=cos3π=21 だから r=cos2B−C−21 である。
三角形は鋭角三角形で,A=π/3である。したがって 0<B,C<2π,B+C=32π であり,これより 6π<B<2π,6π<C<2π である。したがって 2B−C<6π である。 cosxは0≦x<π/6で1から3/2に近づく値をとる。B=C=π/3のとき(B−C)/2=0であり,これは可能である。よって 23<cos2B−C≦1 である。したがって 23−1<r≦21 である。下端は,BまたはCがπ/6に近づくときに近づくが,鋭角条件のため等号は取れない。
別解
解法2
方針
(1) は角の二等分線から直接求める。(2)は半角の内接円公式を使わず、拡張正弦定理で3辺を角表示し、面積 Δ=abc/(4R) と r=Δ/s を用いる。x=(B−C)/2 と置くと分子が因数分解でき、r=cosx−21 が得られる。
解答
(1)
P は内心なので∠PBC=2B,∠PCB=2C.したがって∠BPC=π−2B+C=2π+2A=32π.(2)
辺 BC,CA,AB の長さをそれぞれ a,b,c とする。外接円半径が1なので、拡張正弦定理よりa=2sinA=3,b=2sinB,c=2sinC.ここでx=2B−Cとおく。B+C=2π/3 だからb+c=2(sinB+sinC)=4sin2B+Ccos2B−C=23cosx.よって半周長はs=2a+b+c=3(21+cosx).三角形の面積を Δ とすると R=1 よりΔ=4abc.またbc=4sinBsinC=2{cos(B−C)−cos(B+C)}=2cos2x+1=(2cosx−1)(2cosx+1).したがってr=sΔ=3(21+cosx)3bc/4=cosx−21.鋭角条件と B+C=2π/3 から∣x∣<6π.x=0 は可能だが、∣x∣=π/6 は不可能なので23<cosx≦1.ゆえに23−1<r≦21.
総評
難度5,計算量4。目安時間は18分。(1)は内心角の標準公式をそのまま使えるが,二等分線から一行で導いておくと確実である。(2)はr=4Rsin(A/2)sin(B/2)sin(C/2)を使うと短い。鋭角条件によりB,Cがともにπ/6より大きくなるため,下限は等号なし,上限は正三角形の場合に等号ありとなる。開閉を落とさないことが重要である。
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出典: 京都大学 2017年度 前期 理系数学 第4問(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。