方針
囲まれた面積は,2つの関数xe−xとaxの差の絶対値を0≦x≦2で積分したもの,つまりS(a)=∫02x∣e−x−a∣dxである。最小値はaがe−2から1の間にあるときに生じるので,交点c=−logaを置く。aを少し動かしたときの面積変化,またはS′(a)=0から,重みxの左右の和が等しくなる条件∫0cxdx=∫c2xdxを得る。これよりc=1,a=e−1を求め,最後に面積を計算する。
解答
曲線と直線はともに原点を通る。またx=2で閉じられるので,面積は S(a)=∫02x∣e−x−a∣dx と表せる。
まず最小となるaの位置を考える。a≧1なら0<x≦2でa≧e−xとなり,aを小さくすると面積は小さくなる。したがって最小はa≧1では起こらない。また0≦a≦e−2ならe−x≧aが区間全体で成り立ち,aを大きくすると面積は小さくなる。したがって最小は e−2<a<1 で起こる。
この範囲では,交点を c=−loga とおくと 0<c<2,a=e−c である。0≦x<cではe−x>a,c<x≦2ではe−x<aだから S(a)=∫0cx(e−x−a)dx+∫c2x(a−e−x)dx である。 aで微分すると,交点での境界項は差が0なので消え,S′(a)=−∫0cxdx+∫c2xdx である。最小となるときはS′(a)=0であるから ∫0cxdx=∫c2xdx である。したがって 2c2=22−c2 より c=1 である。よって a=e−1 で最小となる。
このときSmin=∫01x(e−x−e−1)dx+∫12x(e−1−e−x)dxである。部分積分により ∫xe−xdx=−(x+1)e−x だから ∫01xe−xdx=1−e2 であり,∫12xe−xdx=e2−(1+2)e−2 である。したがってSmin=(1−e2−2e1)+(2e1−e2+(1+2)e−2)となり,整理して Smin=1−e4+(1+2)e−2 である。
別解
解法2
方針
面積を S(a)=∫02x∣e−x−a∣dx とし、a に関する凸関数として扱う。微分は「a より上にある部分」と「下にある部分」の重みの差になる。零点は重み x を左右に等分する位置 c=1 であり、凸性から大域的最小と分かる。
解答
面積はS(a)=∫02x∣e−x−a∣dxである。各 x に対して ∣e−x−a∣ は a の凸関数なので、S(a) も凸関数である。したがって、微分係数が0となる点があれば、それが大域的な最小点である。
e−2<a<1 とし、c=−logaとおく。e−x>a は x<c、e−x<a は x>c と同値である。よってS′(a)=−∫0cxdx+∫c2xdx=−2c2+22−c2=1−c2.したがって S′(a)=0 は c=1、すなわちa=e−1.凸性より、ここで最小となる。
最小値はSmin=∫01x(e−x−e−1)dx+∫12x(e−1−e−x)dx.∫xe−xdx=−(x+1)e−xを用いて計算するとSmin=1−e4+(1+2)e−2.
総評
難度7,計算量6。目安時間は27分。面積をx∣e−x−a∣の積分と見抜くことが第一段階である。最小化では,交点の左右で符号が変わるため,境界の移動を含む微分を雑に扱うと誤りやすい。交点では2曲線が一致するので境界項が消えること,左右のxの重みがつり合う条件からc=1が出ることを明記したい。端の範囲a≦e−2,a≧1で最小が起こらない確認も重要である。
冊子PDFで見る京大の積分の問題で問題集を作る
出典: 京都大学 2017年度 前期 理系数学 第5問(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。