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九州大学 1989年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第2問(理系 第2問)

実数abcに対して,関数f(x)および行列Af(x)=acos2x+2bcosxsinx+csin2xA=(abbc)とする.

(1) αβは2次方程式t2(a+c)t+acb2=0の解で,
αβであるとすると,関数f(x)の最小値はαに等しく,最大値はβに等しいことを示せ.

(2) 行列AA2=Aを満たすとする.
このとき関数f(x)の最小値と最大値を求めよ.

難易度7/ 10計算量7/ 10目安32

行列三角関数関数 式変形、範囲評価、場合分け

方針

倍角公式により f(x) を定数と1つの正弦波の和へ直し、振幅から最大・最小を読む。その2値が与えられた2次方程式の解の公式と一致することを確認する。(2) は A2=A を成分比較し、零行列・単位行列を含めて場合分けする。

解答

(1)
倍角公式よりf(x)=a+c2+ac2cos2x+bsin2x.ここでR=(ac2)2+b2とおくと、ある角 ϕ を用いてac2cos2x+bsin2x=Rcos(2xϕ)と表せる。R=0 の場合も含め、minf(x)=a+c2R,maxf(x)=a+c2+R.一方、方程式t2(a+c)t+acb2=0の2根はa+c2±(ac2)2+b2.αβ だからminf(x)=α,maxf(x)=β.(2)A2=(a2+b2b(a+c)b(a+c)b2+c2)より、A2=Aa2+b2=a,b(a+c)=b,b2+c2=cと同値である。

b0 なら a+c=1 であり、b2=aa2=a(1a)=ac.したがって (1) の2次方程式はt2t=t(t1)=0となるので、最小値は 0、最大値は 1 である。

b=0 なら a,c はそれぞれ 0 または 1 である。よってA最小値最大値(0000)00(1001)11上の2つ以外01となる。

別解

解法2:単位円上で平方完成する

方針

u=cosx, v=sinx として単位円上の2次式と見る。2次方程式の根の関係から fαβf をそれぞれ完全平方にし、上下界と等号の実現を同時に示す。(2) は AIA が作るベクトルの長さを利用する。

解答

(1) u=cosx,v=sinxとおけば u2+v2=1 であり、f(x)=au2+2buv+cv2.与えられた2次方程式をP(t)=(ta)(tc)b2と書く。P(a)=P(c)=b20 だからαa,cβ.また P(α)=0 より(aα)(cα)=b2.a>α のときf(x)α=(aα)u2+2buv+(cα)v2=(aα)(u+baαv)20.a=α のときは b=0 なので、同じ結論が得られる。

同様に(βa)(βc)=b2を用いるとβf(x)0.各完全平方の中の一次式を0にする単位円上の点 (u,v) が選べるので、等号も実現する。したがってminf(x)=α,maxf(x)=β.(2)w=(cosxsinx)とおくとf(x)=wTAw.A2=A かつ A は対称だからAw2=wTA2w=f(x)0.さらに(IA)w2=wT(IA)2w=wT(IA)w=1f(x)0.よって 0f(x)1 である。

A=0 なら常に f=0A=I なら常に f=1 である。それ以外では、Az0 となる z を選び、Az を長さ1に直せば Aw=w となって f=1 を実現する。同様に (IA)z0 となる z を選べば Aw=0 となって f=0 を実現する。したがって結論は解法1の表と一致する。

総評

難度7、計算量7。三角関数の最大・最小と問題文で明示された行列条件を結ぶ融合問題で、想定時間は32分程度。(2) では零行列と単位行列だけ最小値と最大値が一致するため、単に「0と1」と答えないことが重要である。振幅法と単位円上の平方完成を相互照合し、重根の場合、b=0、等号成立方向まで確認した。

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出典: 九州大学 1989年度 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。