方針
x=0 から初期値を得て、積分方程式を微分する。得られた微分方程式を変数分離で解き、最後に元の式へ戻して確認する。凹凸は f′′=f′(2f−1) の符号で判定する。
解答
(1)
x=0 を代入するとf(0)=31.両辺を x で微分してf′(x)=f(x){f(x)−1}を得る。初期値の近くでは 0<f<1 なので変数を分離でき、f(f−1)f′=1.f(f−1)1=−f1+f−11を用いて積分するとlogff−1=x+C.f(0)=1/3 よりff−1=−2exとなるからf(x)=1+2ex1.この関数についてf′(x)=−(1+2ex)22ex=f(x){f(x)−1}かつ f(0)=1/3 である。したがって両辺を 0 から x まで積分すれば、元の積分方程式も満たすことが確認できる。
(2) 0<f(x)<1なのでf′(x)=f(x){f(x)−1}<0.よって f は実数全体で単調に減少する。またf′′(x)=f′(x){2f(x)−1}.f(x)=1/2 となるのはx=−log2のときである。したがってxf′′(x)x<−log2−x=−log20x>−log2+となり、変曲点は(−log2,21).さらにx→−∞limf(x)=1,x→∞limf(x)=0.したがって y=1 と y=0 を水平漸近線にもつ減少曲線となる。
別解
解法2:逆数を置いて一次式にする
方針
微分方程式を得た後、h=1/f と置くと h′−h=−1 という簡単な関係になる。解を求めた後は、ex を直接微分して1階・2階導関数の符号を調べる。
解答
(1)
積分方程式からf(0)=31,f′=f(f−1)を得る。初期値を満たす解では f=0 なのでh(x)=f(x)1とおく。このときh′=−f2f′=−f2f(f−1)=h−1.したがって(h−1)′=h−1.h(0)=3 だからh(x)−1=2ex.ゆえにf(x)=1+2ex1.初期値と f′=f(f−1) が成り立つため、積分によって元の式へ戻せる。
(2)
直接微分するとf′(x)=−(1+2ex)22ex<0であり、f′′(x)=(1+2ex)32ex(2ex−1).分母と 2ex は正なので、符号は 2ex−1 で決まる。よって⎩⎨⎧f′′(x)<0f′′(x)=0f′′(x)>0(x<−log2),(x=−log2),(x>−log2).変曲点は (−log2,1/2) であり、左右の水平漸近線はそれぞれ y=1,y=0 である。
総評
難度6、計算量5。積分方程式を初期値付き微分方程式へ直す典型問題で、想定時間は24分程度。微分しただけで終わらず、得た関数が元の積分方程式を満たすことを確認する必要がある。凹凸は f′′ の符号で判定し、日本語の「上に凸・下に凸」だけに頼らず符号表を併記した。変数分離法と逆数置換を相互照合した。
冊子PDFで見る九大の微分の問題で問題集を作る
出典: 九州大学 1989年度 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。