方針
(1) から(3)は定義どおりに差商を計算する。2次関数では、区間[p,q]の平均変化率が中点(p+q)/2での微分係数と一致することが出る。(4)はy=x2の2点における接線を求め、2接線の交点がx=(p+q)/2にあることを使って、放物線と各接線の差を左右に分けて積分する。最後の式はq−pだけに依存するので、途中で(x−p)2, (x−q)2の形にすると計算が見やすい。
解答
(1)
平均変化率は q−pf(q)−f(p) である。ここで f(q)−f(p)=a(q2−p2)+b(q−p)=(q−p){a(p+q)+b} だから q−pf(q)−f(p)=a(p+q)+b である。
(2)
定義にしたがって f′(r)=h→0limhf(r+h)−f(r) を計算する。f(r+h)−f(r)=a{(r+h)2−r2}+bh=a(2rh+h2)+bhであるから hf(r+h)−f(r)=2ar+ah+b である。よって f′(r)=2ar+b である。
(3)
(1)
と(2)が一致するので 2ar+b=a(p+q)+b である。a=0より r=2p+q である。
(4)
放物線y=x2のx=p, x=qにおける接線はそれぞれ y=2px−p2,y=2qx−q2 である。この2直線の交点のx座標を求めると 2px−p2=2qx−q2 より x=2p+q である。
放物線とx=pでの接線との差は x2−(2px−p2)=(x−p)2 であり、放物線とx=qでの接線との差は x2−(2qx−q2)=(x−q)2 である。したがって求める面積をSとすると S=∫p(p+q)/2(x−p)2dx+∫(p+q)/2q(x−q)2dx である。h=(q−p)/2とおくと、2つの積分はどちらも ∫0hu2du=3h3 に等しい。よってS=2⋅3h3=32(2q−p)3=12(q−p)3である。
別解
解法2
方針
区間の中点 h=(p+q)/2 と半幅 d=(q−p)/2 を用いる。2次式を x=h のまわりに展開すると、対称な2点の差商が f′(h) に一致する。(4)も x=h+u と平行移動し、左右対称な面積として計算する。
解答
(1) h=2p+q,d=2q−pとおく。2次式を h のまわりで書けばf(h+u)=au2+(2ah+b)u+f(h)である。従って2df(h+d)−f(h−d)=2ah+b=a(p+q)+b.従って平均変化率は a(p+q)+b である。
(2)
定義からf′(r)=ε→0limεf(r+ε)−f(r)=2ar+b.(3)
両者が一致するのは a=0 よりr=h=2p+qのときである。
(4)
座標をx=h+u,y′=y−2hx+h2と平行移動すると、放物線は y′=u2 となり、P,Q は u=−d,d に移る。両点での接線はy′=−2du−d2,y′=2du−d2で、交点は (0,−d2) である。左右は対称だからS=2∫0d{u2−(2du−d2)}du=2∫0d(d−u)2du=32d3.d=(q−p)/2 を戻してS=12(q−p)3を得る。
\Needspace{8cm}
総評
微分係数の定義と接線で囲まれる面積を結びつける問題で、目安時間は25分前後。(1)から(3)は計算自体は軽いが、平均変化率が中点での微分係数になるという意味を押さえると(4)の接線の交点が自然に見える。(4)では放物線と接線の差が完全平方になるため、積分範囲を左右に分ければ計算は短い。答えがq−pのみに依存することも、検算として有効である。
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出典: 九州大学 1997年度 前期 文系 第2問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。