Evolton

九州大学 1997年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第2問

mを正の定数とし,x0で定義された連続関数S(x)が常に正の値をとるとき,
x0において関数u(x)v(x)f(x)g(x)u(x)=0xS(t)dt+m,v(x)=0xtS(t)dt+m,f(x)=v(x)u(x),g(x)=v(x)xu(x)とおく.

(1) g(0)>0g(1)<0およびx>0においてg(x)<0を示せ.

(2) f(x)=xを満たすxの値がただ1つ存在することを示せ.

(3) f(x)=xを満たすxの値をaとするとき,f(x)の最小値を求めよ.

難易度7/ 10計算量6/ 10目安30

積分関数微分 微分による最大最小、存在証明、一意性証明

方針

定義どおりu(x)=S(x), v(x)=xS(x)を用いる。g(x)=v(x)xu(x)は、g(0)=m>0, g(1)=01(t1)S(t)dt<0, g(x)=u(x)<0となるため、ただ1つの零点をもつ。f(x)=xv=xu、すなわちg=0と同値である。最後にf(x)=S(x)g(x)/u(x)2を計算し、零点aの前後でfが減少から増加へ変わることを示す。

解答

(1)
まず u(0)=m,v(0)=m であるから g(0)=v(0)0u(0)=m>0 である。またg(1)=v(1)u(1)=(01tS(t)dt+m)(01S(t)dt+m)=01(t1)S(t)dtである。0t<1t1<0、かつS(t)>0なので g(1)<0 である。

さらに u(x)=S(x),v(x)=xS(x) であるからg(x)=v(x){u(x)+xu(x)}=xS(x)u(x)xS(x)=u(x)である。ここで u(x)=0xS(t)dt+m>0 だから g(x)<0 である。

(2)
u(x)>0なので f(x)=xv(x)u(x)=x すなわち v(x)xu(x)=0 と同値である。これは g(x)=0 と同じである。

(1)
よりg(0)>0, g(1)<0であり、gは連続で狭義単調減少である。したがってg(x)=0を満たすx0<x<1にただ1つ存在する。よってf(x)=xを満たすxもただ1つ存在する。

(3)
そのただ1つの値をaとする。fを微分するとf(x)=v(x)u(x)v(x)u(x)u(x)2=xS(x)u(x)v(x)S(x)u(x)2=S(x)g(x)u(x)2である。 S(x)>0, u(x)>0であり、gaで0になる狭義単調減少関数である。したがって 0<x<a では g(x)>0,a<x では g(x)<0 である。よって 0<x<a では f(x)<0,a<x では f(x)>0 である。したがってf(x)x=aで最小値をとる。このときf(a)=aであるから、最小値は a である。

別解

解法2

方針

f(x)x を直接積分で表す。分子 g(x) は、x を右へ動かすと既存の全重量に負の増分がかかるため狭義に減少する。固定点の前後で f(x) の符号が逆転することから最小値を得る。

解答

g(x)=m(1x)+0x(tx)S(t)dtと書ける。

(1) g(0)=m>0,g(1)=01(t1)S(t)dt<0.また 0x<y に対してg(y)g(x)=(yx)(m+0xS(t)dt)+xy(ty)S(t)dt<0.従って g は狭義単調減少である。微分可能性を用いれば同じことはg(x)=u(x)<0とも書ける。

(2) f(x)x=v(x)xu(x)u(x)=g(x)u(x)であり u(x)>0 である。g(0)>0,g(1)<0 と狭義単調性より、g(x)=0、従って f(x)=x の解は 0<x<1 にただ1つある。

(3)
その解を a とする。商の微分からf(x)=S(x)u(x){xf(x)}=S(x)g(x)u(x)2.x<a では g(x)>0x>a では g(x)<0 なので、fa まで減少し、その後増加する。従ってminf(x)=f(a)=a.\Needspace{8cm}

総評

積分で定義された関数の単調性と不動点を調べる問題で、目安時間は30分前後。既存の記号に惑わされず、u,v,gがすべてxの関数であることを保つのが重要である。特にg(x)=u(x)が核心で、ここから一意性まで一気につながる。(3)ではf(x)の符号がg(x)の符号で決まるため、aの前後で減少・増加が入れ替わることを明示すれば最小値aが確定する。

冊子PDFで見る九大の積分の問題で問題集を作る

出典: 九州大学 1997年度 前期 理系 第2問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。