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九州大学 2000年度 前期日程 第2次学力試験 複素数平面・三角関数理系数学 第4問(a)

複素数z=cos20+isin20と,
それに共役な複素数zに対しα=z+zとする.

(1) αは整数を係数とするある3次方程式の解となることを示せ.

(2) この3次方程式は3個の実数解をもち,そのいずれも有理数ではないことを示せ。

(3) 有理数を係数とする2次方程式で,
αを解とするものは存在しないことを背理法を用いて示せ.

難易度7/ 10計算量6/ 10目安25

複素数平面三角関数方程式・不等式 複素数の極形式、三角比の利用、背理法

方針

α=z+z=2cos20 と見て、3倍角公式から3次方程式を作る。(2)では符号変化で3つの実数解があることを示し、有理根定理で有理数解がないことを確認する。(3)は背理法で、もし α が有理数係数2次方程式の解なら、3次式 x33x1 とその2次式が共通根をもつ。割り算の余りを考えると、有理数解または有理係数1次因子が出てしまい、(2)と矛盾する。

解答

(1) z=cos20+isin20 なので z=cos20isin20 である。したがって α=z+z=2cos20 である。

3倍角公式 4cos3θ3cosθ=cos3θθ=20 を代入する。α=2cos20 だから α33α=2cos60=1 である。よって αx33x1=0 の解である。

(2) F(x)=x33x1 とおく。 F(2)=3,F(1)=1 なので、21 の間に実数解がある。また F(1)=1,F(0)=1 なので、1 と0の間にも実数解がある。さらに F(1)=3,F(2)=1 なので、1と2の間にも実数解がある。3次方程式の解は高々3個なので、この方程式は3個の実数解をもつ。

次に有理数解がないことを示す。F(x) は最高次係数1、定数項 1 の整数係数多項式である。有理数解をもつなら、その解は整数で、しかも ±1 に限られる。しかし F(1)=131=3,F(1)=1+31=1 である。したがって有理数解はない。よって3個の実数解はいずれも有理数ではない。

(3)
背理法で示す。α を解にもつ有理数係数の2次方程式が存在すると仮定する。その左辺を G(x) とする。必要なら定数倍して、G(x) は有理数係数の2次式であるとしてよい。 F(x)=x33x1G(x) で割ると、余りは高々1次の有理数係数多項式である。これを R(x) とする。F(α)=0G(α)=0 だから R(α)=0 である。

もし R(x) が0でない1次式なら、R(α)=0 より α は有理数である。これは(2)に反する。もし R(x) が0でない定数なら、R(α)=0 は不可能である。したがって余りは0でなければならない。

余りが0なら、G(x)F(x) を割り切る。すると F(x) は有理数係数の1次式を因数にもつので、有理数解をもつことになる。これも(2)に反する。よって仮定は誤りであり、α を解とする有理数係数の2次方程式は存在しない。

別解

解法2(単位根と既約3次多項式)

方針

z=e20i として z3+z3=1 を利用する。
得られる3次式に有理根がないことから、既約性と2次方程式の不存在をまとめて示す。

解答

(1)
α=z+z1 である。恒等式(z+z1)33(z+z1)=z3+z3z3+z3=2cos60=1よりα33α1=0.(2)
x33x1=0 の3根は2cos20,2cos100,2cos140で、相異なる実数である。有理根があれば有理根定理から ±1 に限るが、
どちらも代入して0にならない。従って3根はいずれも無理数である。

(3)
x33x1 は有理根をもたない3次式なので、有理数係数上で既約である。
もし α が有理数係数の2次方程式を満たせば、その2次式と上の既約3次式は
α を共通根にもつ。両式の最大公約多項式は1次以上になるが、
既約3次式の約数は定数倍を除き1と自分自身だけであり、次数2の式を割れない。
矛盾である。従ってそのような2次方程式は存在しない。

総評

難度は10段階中7、計算量は10段階中6。目安は25分。2cos20 と3倍角公式を結びつけることが入口である。(2)では3つの実数解の存在と、有理数解がないことを別々に示す必要がある。(3)は「2次方程式があるなら3次式と共通因子をもつ」という発想で、割り算の余りを使うと背理法が明確になる。

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出典: 九州大学 2000年度 前期 理系 第4問(a)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。