Evolton

九州大学 2009年度 後期日程 第2次学力試験(数学理系)理系(後期)数学 第1問

nを自然数とする.x0において定義された関数fn(x)=ex1(log1t)ndtについて,以下の問いに答えよ.
なお,必要ならば,任意の整数mについて
limxxmex=0が成り立つことを用いてよい.

(1) fn(x)の導関数dfn(x)dxを求めよ.

(2) 関数f1(x)を求めよ.

(3) n>1のときのfn(x)fn1(x)の間に成り立つ関係式を求めよ.

(4) limxfn(x)nを用いて表せ.

難易度5/ 10計算量5/ 10目安22

積分指数・対数数列 置換積分、部分積分、数学的帰納法

方針

u=log(1/t) と変数変換して積分区間を0からxへ直す.(1)は上端微分,(2)(3)は部分積分で処理する.(4)は漸化式と与えられた指数関数の極限を用いる.

解答

まず,後で使いやすい形に直しておく.u=log(1/t)とおくとt=eudt=euduである.またt=exのときu=xt=1のときu=0である.したがってfn(x)=ex1(log1t)ndt=0xuneuduである.

(1)

上の表示から,積分の上端がxであることを用いて dfn(x)dx=xnex である.

なお,元の式から直接微分してもよい.下端exの微分はexなのでddxex1(log1t)ndt=(logex)n(ex)=xnexとなる.

(2)

n=1 のときf1(x)=0xueuduである.部分積分によりueudu=ueueuだからf1(x)=[(u+1)eu]0x=(x+1)ex+1である.よって f1(x)=1(x+1)ex である.

(3)

n>1 とする.fn(x)=0xuneuduで部分積分を行う.unを微分する側,euを積分する側に取るとfn(x)=[uneu]0x+n0xun1eudu=xnex+nfn1(x)である.したがって fn(x)=nfn1(x)xnex である.

(4) Ln=limxfn(x)とおく.問題文で与えられた極限より limxxnex=0 である.したがって(3)から Ln=nLn1 を得る.また(2)より L1=limx{1(x+1)ex}=1 である.よって Ln=n(n1)2L1=n! となる.したがって limxfn(x)=n! である.

別解

解法2(有限和による一括表示)

方針

変数変換後の積分を繰り返し部分積分し,fn(x) を有限和で明示する.この1本の式を微分・比較・極限計算に使い,(1)〜(4)をまとめて確認する.

解答

まず u=log(1/t) とおくとfn(x)=0xuneudu.この積分を繰り返し部分積分するとfn(x)=n!(1exk=0nxkk!)を得る.実際,n=1 ではf1(x)=1(x+1)exで成立する.また n1 で成立するとき,1回の部分積分からfn(x)=xnex+nfn1(x)=n!(1exk=0nxkk!)となるので,帰納的に この有限和表示 が示される.

(1)

この有限和表示 を微分する.有限和の隣り合う項が相殺してdfn(x)dx=xnex.(2)

この有限和表示 に n=1 を代入してf1(x)=1(x+1)ex.(3)

上の帰納計算そのものからfn(x)=nfn1(x)xnex(n>1).(4)

この有限和表示 の和は有限個であり,各項についてlimxxkex=0である.したがってlimxfn(x)=n!.

総評

難度5,計算量5,目安時間22分.最初に u=log(1/t) と変数変換し,積分区間と指数関数を見通しよくする.解法1は微分・部分積分・漸化式を設問順に処理し,解法2は有限和 fn(x)=n!{1exk=0nxk/k!} を導いて全設問を一括確認する.積分はすべて独立行に置き,上下端や部分積分の境界項が潰れない組版にした.

冊子PDFで見る九大の積分の問題で問題集を作る

出典: 九州大学 2009年度 後期 理系(後期) 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。