方針
u=log(1/t) と変数変換して積分区間を0からxへ直す.(1)は上端微分,(2)(3)は部分積分で処理する.(4)は漸化式と与えられた指数関数の極限を用いる.
解答
まず,後で使いやすい形に直しておく.u=log(1/t)とおくとt=e−u,dt=−e−uduである.またt=e−xのときu=x,t=1のときu=0である.したがってfn(x)=∫e−x1(logt1)ndt=∫0xune−uduである.
(1)
上の表示から,積分の上端がxであることを用いて dxdfn(x)=xne−x である.
なお,元の式から直接微分してもよい.下端e−xの微分は−e−xなのでdxd∫e−x1(logt1)ndt=−(logex)n(−e−x)=xne−xとなる.
(2)
n=1 のときf1(x)=∫0xue−uduである.部分積分により∫ue−udu=−ue−u−e−uだからf1(x)=[−(u+1)e−u]0x=−(x+1)e−x+1である.よって f1(x)=1−(x+1)e−x である.
(3)
n>1 とする.fn(x)=∫0xune−uduで部分積分を行う.unを微分する側,e−uを積分する側に取るとfn(x)=[−une−u]0x+n∫0xun−1e−udu=−xne−x+nfn−1(x)である.したがって fn(x)=nfn−1(x)−xne−x である.
(4) Ln=x→∞limfn(x)とおく.問題文で与えられた極限より x→∞limxne−x=0 である.したがって(3)から Ln=nLn−1 を得る.また(2)より L1=x→∞lim{1−(x+1)e−x}=1 である.よって Ln=n(n−1)⋯2⋅L1=n! となる.したがって x→∞limfn(x)=n! である.
別解
解法2(有限和による一括表示)
方針
変数変換後の積分を繰り返し部分積分し,fn(x) を有限和で明示する.この1本の式を微分・比較・極限計算に使い,(1)〜(4)をまとめて確認する.
解答
まず u=log(1/t) とおくとfn(x)=∫0xune−udu.この積分を繰り返し部分積分するとfn(x)=n!(1−e−xk=0∑nk!xk)を得る.実際,n=1 ではf1(x)=1−(x+1)e−xで成立する.また n−1 で成立するとき,1回の部分積分からfn(x)=−xne−x+nfn−1(x)=n!(1−e−xk=0∑nk!xk)となるので,帰納的に この有限和表示 が示される.
(1)
この有限和表示 を微分する.有限和の隣り合う項が相殺してdxdfn(x)=xne−x.(2)
この有限和表示 に n=1 を代入してf1(x)=1−(x+1)e−x.(3)
上の帰納計算そのものからfn(x)=nfn−1(x)−xne−x(n>1).(4)
この有限和表示 の和は有限個であり,各項についてx→∞limxke−x=0である.したがってx→∞limfn(x)=n!.
総評
難度5,計算量5,目安時間22分.最初に u=log(1/t) と変数変換し,積分区間と指数関数を見通しよくする.解法1は微分・部分積分・漸化式を設問順に処理し,解法2は有限和 fn(x)=n!{1−e−x∑k=0nxk/k!} を導いて全設問を一括確認する.積分はすべて独立行に置き,上下端や部分積分の境界項が潰れない組版にした.
冊子PDFで見る九大の積分の問題で問題集を作る
出典: 九州大学 2009年度 後期 理系(後期) 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。