Evolton

名古屋大学 1988年度 前期日程 第2次学力試験 関数・微分理系数学 第4問(a)

多項式f(x)x>0の範囲でf(x)>0を満たし,
y=f(x)のグラフCは原点に関して対称とする.
正の数aに対して,Cx軸方向にa
y軸方向にf(a)だけ平行移動して得られる曲線をCaとする.

(1) CCaとは2点(0,0)(a,f(a))のみで交わり,
しかも,0<x<aの範囲でf(xa)>f(x)f(a)であることを証明せよ.

(2) CCaとで囲まれた図形の面積がつねにa4となるf(x)をすべて求めよ.

難易度8/ 10計算量7/ 10目安30

関数微分積分 対称性の利用不等式評価微分による最大最小

方針

原点対称から f は奇関数である。(1) は g(x)=f(a)f(ax)f(x) を作り、g<0 と両端の値から区間内の厳密な上下関係を示す。区間外は f の単調性で交点が増えないことを確認する。(2) は面積を af(a)20af(x)dx に整理し、a で微分して f を決定する。

解答

(1)

グラフ C が原点対称なのでf(x)=f(x),f(0)=0.0xag(x)=f(a)f(ax)f(x)とおく。両端では g(0)=g(a)=0。また 0<x<ag(x)=f(ax)f(x)<0.よって g は厳密に上に凸であり、区間内部では g(x)>0。奇関数性から f(xa)=f(ax) なのでf(xa)>f(x)f(a)(0<x<a)を得る。

Ca の式はy=f(xa)+f(a)である。交点を調べるためH(x)=f(x)f(xa)f(a)とおく。H(0)=H(a)=0 であり、今示した不等式から 0<x<a では H(x)<0

x>a では x>xa>0 だから、fx>0 で増加することよりH(x)=f(x)f(xa)>0.ゆえに H(x)>H(a)=0

x<0 では f が偶関数であるからH(x)=f(x)f(ax)<0である。H(0)=0 より x<0H(x)>0。したがって交点は(0,0), (a,f(a))の2点だけである。

(2)

0<x<a では CaC より上にある。囲まれた面積を S(a) とするとS(a)=0a{f(xa)+f(a)f(x)}dx=af(a)20af(x)dx.条件からaf(a)20af(x)dx=a4.両辺を a で微分するとaf(a)f(a)=4a3.したがって(f(a)a)=4a.積分してf(a)a=2a2+C,ゆえにf(x)=2x3+Cxである。

逆に、この多項式は奇関数でありf(x)=12x>0(x>0).またaf(a)20af(x)dx=a(2a3+Ca)20a(2x3+Cx)dx=a4.よってf(x)=2x3+Cx(C は任意の実数).

別解

解法2:弦の不等式と係数比較を使う

方針

(1)f>0 による厳密な凸性を、原点と (a,f(a)) を結ぶ弦との比較として使う。(2) は f が奇多項式であることから奇数次の項だけを書き、各単項式が面積へ与える係数を直接計算する。恒等式 S(a)=a4 の係数比較で三次項以外を消す。

解答

(1)

原点対称より f は奇関数であり、f(0)=0。また f(x)>0 だから、x>0 でグラフは厳密に下に凸である。したがって 0<x<a では、グラフは (0,0)(a,f(a)) を結ぶ弦より下にありf(x)<xaf(a),f(ax)<axaf(a).2式を加えるとf(x)+f(ax)<f(a).f(xa)=f(ax) なのでf(xa)>f(x)f(a)を得る。

x>a では、f が増加するため、長さ a の区間上の増分は右へ移すほど大きい。よってf(x)f(xa)>f(a)f(0)=f(a).x<0u=x>0 と置けばf(x)f(xa)f(a)=f(u+a)f(u)f(a)>0.したがって 0<x<a では2曲線の差の符号が反対で、区間外では0にならない。交点は (0,0)(a,f(a)) のみである。

(2)

f は奇多項式なので、ある実数 c0,c1,,cm を用いてf(x)=k=0mckx2k+1と書ける。(1)から面積はS(a)=af(a)20af(x)dx.各項ごとに計算するとS(a)=k=0mck(122k+2)a2k+2=k=1mkk+1cka2k+2.これがすべての a>0 について a4 に等しい。多項式の係数を比較すると12c1=1,ck=0(k2).c0 は面積に影響しないので任意である。よってf(x)=2x3+c0x.この形なら f(x)=12x>0 であり、条件を確かに満たす。

総評

難度は10段階で8、計算量は10段階で7程度。試験場では35〜40分を見込む。原点対称から奇関数、f>0 から正の範囲での厳密な凸性、という2条件を分けて使う。(1) は区間内の上下関係だけでなく、区間外に交点がないことまで示す必要がある。(2) では定積分を必ず表示し、奇関数性で面積を af(a)20af(x)dx に整理する。微分法と係数比較のどちらでも、最後に得た多項式が元の条件を満たす逆確認まで書く。

冊子PDFで見る名大の関数の問題で問題集を作る

出典: 名古屋大学 1988年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。