方針
区間 0<x<π/4 では sin2x>0 なので,不等式を t>−sin3x/sin2x と直す。あとは sin3x/sin2x の下限を開区間で正しく調べる問題になる。三角関数を cosx で表し,端点 x=π/4 が含まれないため,境界値では等号を許してよいことを最後に確認する。
解答
0<x<π/4 では sin2x>0 である。したがって sin3x+tsin2x>0 は t>−sin2xsin3x と同値である。よって,すべての x に対してこの不等式が成り立つように,右辺の上限を調べればよい。
まずsin2xsin3x=2sinxcosxsinx(3−4sin2x)=2cosx4cos2x−1=2cosx−2cosx1である。u=cosx とおくと,0<x<π/4 より 22<u<1 である。また ϕ(u)=2u−2u1 とおけば ϕ′(u)=2+2u21>0 であるから,ϕ(u) は u の増加関数である。したがってsin2xsin3x=ϕ(u)>ϕ(22)=22である。ここで x=π/4 は区間に含まれないため,等号は起こらない。
よってすべての x について −sin2xsin3x<−22 である。したがって t≧−22 ならば,すべての x について t>−sin2xsin3x が成り立つ。
逆に,もし t<−22 なら,−t>2/2 である。x を π/4 に十分近い値として 0<x<π/4 の範囲で選べば sin2xsin3x<−t となり,すなわち sin3x+tsin2x<0 となって条件に反する。
以上より,求める範囲は t≧−22 である。
境界値を与える比の変化
別解
解法2
方針
不等式を sin2x>0 で割り、比 g(x)=sin3x/sin2x を x のまま微分する。
開区間の右端でのみ近づく下限を使い、境界値が許される理由も確認する。
解答
0<x<π/4 では sin2x>0 だから、条件はt>−sin2xsin3xと同値である。ここでg(x)=sin2xsin3x=2cosx−2cosx1とおく。微分するとg′(x)=−sinx(2+2cos2x1)<0なので、g は区間内で単調減少する。したがってg(x)>x→π/4−0limg(x)=22.よって−g(x)<−22であり、t=−2/2 でも元の不等式は真に正となる。
一方、t<−2/2 なら、x を π/4 に十分近づけることで
t≦−g(x) となる x を選べ、条件に反する。以上よりt≧−22である。
総評
難度は10段階中5、計算量は10段階中4。目安時間は12分から18分。不等式が「すべての x」で成り立つ条件なので,t の境界値を端点極限から決める問題である。sin2x>0 を確認してから割ること,x=π/4 が含まれないため t=−2/2 が許されることが重要である。閉区間の最小値問題のように扱うと,境界の等号条件を誤りやすい。 2解法の結論を照合し、条件の必要十分性、端点、符号、定義域、等号成立条件を再確認した。図は論証を補助するものに限定し、縮尺に依存しない式による説明も併記している。
冊子PDFで見る名大の三角関数の問題で問題集を作る
出典: 名古屋大学 1995年度 前期日程 第2次学力試験 文系 第2問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。