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名古屋大学 1999年度 前期日程 第2次学力試験 ベクトル・図形と方程式文系数学 第3問(a)

(1) ベクトルa=(a1,a2)が次の条件(*)をみたすとき,
(a1,a2)の存在範囲を図示せよ.

(*) あるベクトルb=(b1,b2)が存在して,
(ap)2+(bp)2=p2
任意のベクトルpに対して成り立つ.

(2) (1)で求めたa=(a1,a2)に対して,
条件(*)にあるベクトルb=(b1,b2)を求めよ.

難易度6/ 10計算量5/ 10目安20

ベクトル図形と方程式 内積の利用恒等式比較図形的解釈

方針

任意のベクトル p に対する恒等式なので、p=(x,y) とおいて x2,xy,y2 の係数を比較する。得られた条件は、2つの行ベクトル (a1,b1), (a2,b2) が互いに直交する単位ベクトルであることを表す。そこから (a1,a2) が単位円周上にある必要十分条件を取り出し、対応する ba を90度回転した2通りで与える。

解答

(1) p=(x,y) とおく。条件(*)は任意の実数 x,y に対して (a1x+a2y)2+(b1x+b2y)2=x2+y2 が成り立つことを意味する。左辺を展開すると (a12+b12)x2+2(a1a2+b1b2)xy+(a22+b22)y2 である。これが常に x2+y2 に等しいので、係数比較により a12+b12=1, a22+b22=1, a1a2+b1b2=0 を得る。

この3式から a1,a2 の条件を取り出す。第1式、第2式より b12=1a12,b22=1a22 であり、第3式を2乗すると b12b22=a12a22 である。したがって (1a12)(1a22)=a12a22 となり、整理して a12+a22=1 を得る。よって点 (a1,a2) は単位円周上になければならない。

逆に、a12+a22=1 ならば、たとえば b=(a2,a1) とおくと a12+b12=a12+a22=1, a22+b22=a22+a12=1, a1a2+b1b2=a1a2+a2(a1)=0 となり、条件(*)を満たす。したがって存在範囲は a12+a22=1 で表される円周である。

(2) a12+a22=1 とする。上で見たように b=(a2,a1) は条件を満たす。また符号を全体に変えた b=(a2,a1) も同じ3つの係数条件を満たす。

実際、ba と直交し、長さが1であればよい。平面上で単位ベクトル a に直交する単位ベクトルは2つだけなので、求めるベクトルは b=(a2,a1),(a2,a1) である。

別解

解法2

方針

p(ap,bp) という写像を考える。条件は全てのベクトルの長さを保つことを意味する。内積も保つことを和の長さから導き、標準基底の像が直交単位ベクトルになることから a,b の形を決める。

解答

(1)
写像T(p)=(ap, bp)を考える。条件(*)はT(p)=pが全ての p で成り立つことを表す。

任意の p,q に対し2T(p)T(q)=T(p+q)2T(p)2T(q)2=p+q2p2q2=2pqだから、T は内積も保つ。

標準の単位ベクトルを e1=(1,0)e2=(0,1) とするとT(e1)=(a1,b1),T(e2)=(a2,b2)は互いに直交する単位ベクトルである。平面では、第2のベクトルは第1を正または負の向きへ 90 回したものなので(a2,b2)=(b1,a1)または(b1,a1).どちらの場合もa12+a22=a12+b12=1であり、点 (a1,a2) の範囲は単位円周である。

(2)
逆に a12+a22=1 ならb=(a2,a1)または(a2,a1)と取れば、a,b は直交単位ベクトルとなり(*)を満たす。

総評

任意のベクトルに対する恒等式なので、係数比較または長さを保つ写像として処理できる。存在範囲は円板ではなく単位円周である。必要条件を出しただけでなく、b=(a2,a1) または (a2,a1) を実際に構成して十分性を確認した。2通りの符号を落とさないことが重要である。

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出典: 名古屋大学 1999年度 前期 文系 第3問(a)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。