方針
まず f′(x) を計算し,さらに g(x)=f′(x) の増減を調べて f′(x)≧0 を示す。(2)は f(0)=0 と単調増加性から従う。(3)は x=1/n として,(2)を x と −x に適用し,対数をとった不等式に直す。
解答
(1) f′(x)=1+x1−1−x1−log(1−x)+1−xx=−1+xx−log(1−x)である。g(x)=f′(x) とおくとg′(x)=−(1+x)21+1−x1=(1−x)(1+x)2x(x+3)である。−1<x<0 では g′(x)<0,0<x<1 では g′(x)>0 であり,g(0)=0 である。したがって −1<x<1 でf′(x)=g(x)≧0である。
(2)
f(0)=0 であり,(1)より f(x) は −1<x<1 で増加する。また x=0 では f′(x)>0 となる区間を通るので,x>0 なら f(x)>0,x<0 なら f(x)<0 である。よってxf(x)>0である。
(3)
x=1/n とおくと,0<x<1 である。(2)より f(x)>0 だからlog(1−x2)−xlog(1−x)>0である。したがってlog(1−x)<x1log(1−x2)であり,これはnn−1<(n2n2−1)nを意味する。
また (2)より f(−x)<0 であるからlog(1−x2)+xlog(1+x)<0である。これはlog(1−x)+(1+x)log(1+x)<0と同値であり,さらに(x1+1)log(1−x2)<log(1−x)と同値である。x=1/n を戻すと(n2n2−1)n+1<nn−1である。以上より(n2n2−1)n+1<nn−1<(n2n2−1)nが成り立つ。
別解
解法2(対数の積分表示で導関数を評価する方法)
方針
f′(x) を求め、x>0 と x<0 に分けて
対数の積分表示から正値性を示し、f(±1/n) の符号を使う。
解答
(1) f′(x)=−1+xx−log(1−x),f′(0)=0.0<x<1 なら−log(1−x)=∫0x1−tdt>∫0x1dt=x>1+xx⟹f′(x)>0.また x=−y, 0<y<1 ならlog(1+y)=∫0y1+tdt<y<1−yy,⟹f′(−y)=1−yy−log(1+y)>0.以上より f′(x)≧0 (−1<x<1) である。
(2)
f(0)=0 かつ f は狭義単調増加だから、f(x) と x は同符号であり、xf(x)>0 である。
(3)
u=1/n (0<u<1) とおく。f(u)>0 よりlog(1−u2)⟹nn−1>ulog(1−u)<(n2n2−1)n.一方、f(−u)<0 とlog(1−u2)=log(1−u)+log(1+u) から(u1+1)log(1−u2)⟹(n2n2−1)n+1<log(1−u)<nn−1.以上より題意の不等式が成り立つ。
総評
難度6,計算量5。想定時間は18分程度。(1)の微分計算と f′ 自身の増減確認が誘導全体の土台になる。(3)は対数をとった不等式に直し,(2)を x と −x の両方に使う構造を見抜くことが重要である。 岡山大学2022年度資料17頁と独立本文を照合し、結論・設問番号・計算過程を再確認した。
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出典: 岡山大学 2022年度 前期 理系数学 第4問(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。