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大阪大学 1985年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第2問

平面上の1次変換(uv)=(abcd)(uv)によって,ある直線lが同じ直線lにうつされるとき,
2次方程式x2(a+d)x+adbc=0は実数解をもつことを示せ.

難易度5/ 10計算量3/ 10目安15

行列図形と方程式論証・証明 図形的解釈ベクトル成分計算必要十分条件

方針

直線 l 上の異なる2点を取り、その差ベクトルを調べる。1次変換で l が同じ直線に移るなら、差ベクトルは再び l の方向に平行になる。つまりある実数 λ について Av=λv と書けるので、この λ が問題の2次方程式を満たすことを行列式で示す。

解答

与えられた1次変換の行列をA=(abcd)とする。

直線 l 上に異なる2点 P,Q を取る。P,Q の位置ベクトルをそれぞれ p,q とすれば、v=qpl の方向ベクトルであり、v0 である。

条件より、P が移った点も Q が移った点も同じ直線 l 上にある。したがって、移った後の差 AqAp=A(qp)=Av は、直線 l の方向に平行である。よって、ある実数 λ が存在して Av=λv と書ける。もし Av=0 であっても、これは λ=0 とすれば含まれる。

ここでv=(rs)((r,s)(0,0))とおく。上の式は(abcd)(rs)=λ(rs)であるから(λabcλd)(rs)=(00)となる。 (r,s)(0,0) であるから、この連立方程式が0でない解をもつためにはdet(λabcλd)=0でなければならない。左辺を展開すると (λa)(λd)bc=λ2(a+d)λ+adbc である。

したがって実数 λλ2(a+d)λ+adbc=0 を満たす。ゆえに、2次方程式 x2(a+d)x+adbc=0 は実数解をもつ。

差ベクトルを見る理由を図にすると次の通りである。点そのものの位置ではなく、同じ直線上の2点の差だけが直線の方向を表す。

別解

解法2(方向の傾きで場合分け)

方針

不変な直線の方向を、非鉛直なら (1,m)、鉛直なら (0,1) と表す。移された方向が元の方向と平行になる条件から、問題の2次方程式の実数解を直接作る。

解答

直線 l の方向を考える。

まず l が鉛直でないとする。その方向ベクトルを(1m)と書ける。直線 l が同じ直線に移るので、方向ベクトルの像(a+bmc+dm)(1,m) に平行である。したがって、ある実数 λ に対してa+bm=λ,c+dm=mλが成り立つ。

この実数 λ についてλ2(a+d)λ+adbc=(λa)(λd)bc=bm(a+bmd)bc=b{bm2+(ad)mc}=0である。最後の等号には c+dm=m(a+bm) を用いた。よって λ は問題の2次方程式の実数解である。

次に l が鉛直なら、方向ベクトルは (0,1) である。その像 (b,d) も鉛直だから b=0 である。このときx2(a+d)x+ad=(xa)(xd)となり、実数解 a,d をもつ。

以上より、どちらの場合にも与えられた2次方程式は実数解をもつ。

総評

難易度5、計算量3、想定時間10~15分。直線上の点の座標ではなく、異なる2点の差ベクトルを使うと位置の影響が消える。行列は問題文そのものが1次変換を行列で与えているため、この問題に限って使用している。別解では鉛直方向を落とさず場合分けすることが重要である。

冊子PDFで見る阪大の行列の問題で問題集を作る

出典: 大阪大学 1985年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。