方針
まず a0(x+p)n が同じ微分関係式を満たすことを確認し、差 F(x)=f(x)−a0(x+p)n を作る。差は次数が n−1 以下で、しかも同じ関係式 nF=(x+p)F′ を満たす。もし F が零でなければ、最高次項を比較すると次数が n でなければならず、次数 n−1 以下であることと矛盾する。
解答
g(x)=a0(x+p)n とおく。このとき g′(x)=na0(x+p)n−1 であるから (x+p)g′(x)=na0(x+p)n=ng(x) である。したがって g(x) も、与えられた関係式と同じ ng(x)=(x+p)g′(x) を満たす。
そこで F(x)=f(x)−g(x) とおく。f と g はどちらも最高次係数が a0 の n 次式であるから、F は零多項式であるか、次数が n−1 以下の多項式である。また、f と g の関係式を引き算すると nF(x)=(x+p)F′(x) が成り立つ。
ここで F が零多項式でないと仮定する。F の次数を m とし、最高次の項を cxm(c=0) とする。すると左辺 nF(x) の最高次の項は ncxm である。一方、F′(x) の最高次の項は mcxm−1 なので、右辺 (x+p)F′(x) の最高次の項は mcxm である。
両辺が等しいためには、最高次の係数が等しくなければならない。すなわち nc=mc である。c=0 より n=m を得る。しかし F の次数は n−1 以下だったので、これは矛盾である。したがって F は零多項式である。
よって f(x)=g(x)=a0(x+p)n である。
別解
解法2
方針
整式の係数を直接比較する。xn−k の係数から kak=p(n−k+1)ak−1 を得て、数学的帰納法で ak=nCka0pk と決定し、二項展開へ戻す。
解答
f(x)=a0xn+a1xn−1+⋯+akxn−k+⋯+anとする。関係式nf(x)=(x+p)f′(x)の xn−k の係数を比較する。
左辺の係数は nak である。右辺では xf′(x) から (n−k)ak、pf′(x) から p(n−k+1)ak−1 が現れる。従ってnak=(n−k)ak+p(n−k+1)ak−1,すなわちkak=p(n−k+1)ak−1(k=1,…,n).これを順に用いるとak=k(k−1)⋯1n(n−1)⋯(n−k+1)a0pk=nCka0pk.従って二項展開によりf(x)=a0{xn+nC1pxn−1⋯+nCkpkxn−k⋯+pn}=a0(x+p)n.これで係数がすべて一意に決まり、所要の形が示された。
総評
微分関係式を整式の次数で処理する証明問題で、想定時間は12分程度。a0(x+p)n という候補を先に作り、差を取って最高次項の矛盾に持ち込むのが最短である。商 f/(x+p)n を微分する方法も考えられるが、多項式としての議論では最高次項比較の方が端点や x=−p の扱いを気にせずに済む。証明では a0=0 と F の次数が n−1 以下になる理由を明確にしておきたい。
冊子PDFで見る阪大の微分の問題で問題集を作る
出典: 大阪大学 1998年度 前期 理系 第2問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。