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大阪大学 2008年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第2問

a,ba>b>0を満たす定数とし,直線l,mをそれぞれy=ax,y=bxとする。点P1(p,q)l上にもm上にもない点とする。

(1) P1からlに下ろした垂線がlと交わる点をQP1からmに下ろした垂線がmと交わる点をRとする。Q,Rの座標を求めよ。

(2) 四角形P1QP2Rが平行四辺形となるように点P2をとる。P1P2に移す一次変換fを表す行列Mを求めよ。

(3) 一次変換fによって,P2P3に,P3P4に,以下同様にPn1Pnに移るとする。このときPnの座標を求めよ。

難易度7/ 10計算量7/ 10目安28

ベクトル行列 座標設定内積の利用ベクトル成分計算、帰納的定義の利用、計算整理

方針

(1) は方向ベクトル (1,a),(1,b) への正射影を内積で求める。(2)は平行四辺形の位置ベクトルから P2=Q+RP1 とし,係数を行列にまとめる。(3)では M(ceec) の形になることを利用し,M2 が単位行列の定数倍になることから偶奇で累乗を求める。

解答

(1) 直線 l の方向ベクトルは (1,a) である。したがって P1=(p,q)l への正射影はQ=p+aq1+a2(1,a)である。同様に,直線 m の方向ベクトルは (1,b) だからR=p+bq1+b2(1,b)である。よってQ(p+aq1+a2,a(p+aq)1+a2),R(p+bq1+b2,b(p+bq)1+b2)となる。

(2) 四角形 P1QP2R がこの順に平行四辺形なので,位置ベクトルについてP2=Q+RP1が成り立つ。(1)の式を代入して p,q の係数をまとめると(p2q2)=M(pq)ただしM=1(1+a2)(1+b2)(1a2b2(a+b)(1+ab)(a+b)(1+ab)a2b21)である。

(3) D=(1+a2)(1+b2),c=1a2b2D,e=(a+b)(1+ab)DとおくとM=(ceec)である。直接計算するとM2=(c2+e2)(1001)であり,さらに整理してc2+e2=(1+ab)2(1+a2)(1+b2)を得る。そこでρ=1+ab(1+a2)(1+b2)とおけば M2=ρ2E である。なお(1+a2)(1+b2)(1+ab)2=(ab)2>0より 0<ρ<1 である。

初期点を列ベクトルで P1=(p,q)T と書けば Pn=Mn1P1 である。したがって,n=2k+1 のときPn=ρ2k(pq),n=2k のときPn=ρ2k2(cp+eqepcq).これが求める座標である。

Q,R は2直線への正射影で,P2 は平行四辺形の第4頂点。

別解

解法2

方針

2直線の傾きを角度で表し,その内角の二等分線を新しい横軸に選ぶ。この座標では2本の直線は横軸となす角が ±δ となる。2つの正射影の和から恒等変換を引くと,角の二等分線に関する鏡映と縮小の合成になるため,反復の偶奇が幾何的に見える。

解答

(1) 方向ベクトルu=(1,a),v=(1,b)への正射影を取る。よってQ=(p,q)uuuu=p+aq1+a2(1,a),R=(p,q)vvvv=p+bq1+b2(1,b).(2) 直線 l,mx 軸の正の向きとなす角をそれぞれ0<β<α<π2を満たす α,β とする。角の二等分線方向を第1軸,それに垂直な方向を第2軸に取ると,2直線は第1軸とそれぞれ δ=(αβ)/2δ の角をなす。

この座標で,角 δ の直線への正射影を表す行列は(cos2δsinδcosδsinδcosδsin2δ)であり,角 δ の直線への正射影では非対角成分の符号だけが反転する。したがって,P2=Q+RP1 を表す行列は(2cos2δ1002sin2δ1)=(cos2δ00cos2δ).ここでρ=cos2δ=cos(αβ)=1+ab(1+a2)(1+b2)である。よってこの変換は,角の二等分線に関する鏡映を行った後,全体を ρ 倍する変換である。鏡映を2回行うと元の向きに戻るから,M2=ρ2Eが直ちに分かる。

元の座標で P2=Q+RP1 を計算すればM=1(1+a2)(1+b2)(1a2b2(a+b)(1+ab)(a+b)(1+ab)a2b21)である。

(3) したがってPn=Mn1P1において,奇数番目では元の方向のまま ρn1 倍され,偶数番目では1回鏡映された方向のまま ρn1 倍される。これを元の x,y 座標へ戻すと,解法1の{P2k+1=ρ2k(p,q)T,P2k=ρ2k2(cp+eq, epcq)Tを得る。

総評

難度7,計算量7。想定時間は28分程度。垂線の足を連立方程式で求めてもよいが,正射影を使うと(1)から(2)まで一貫して処理できる。(3)で一般の行列累乗を考える必要はなく,対角成分が互いに反対であるため M2 の非対角成分が消える。最後は n の偶奇を明記する。

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出典: 大阪大学 2008年度 後期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。