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大阪大学 2020年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第2問

1個のさいころをn回投げて,k回目に出た目が1の場合はXk=1
出た目が2の場合はXk=1,その他の目が出た場合はXk=0とする.Yk=cos(π3Xk)+isin(π3Xk)とおき,Y1からYnまでの積Y1Y2Y3YnZnで表す.
ただし,iは虚数単位とする.以下の問いに答えよ.

(1) Z2が実数でない確率を求めよ.

(2) Z1,Z2,Z3,,Znがいずれも実数でない確率を求めよ.

(3) Znが実数となる確率をpnとする.
pnnを用いて表し,極限limnpnを求めよ.

難易度5/ 10計算量6/ 10目安18

確率複素数平面数列 状態分類確率漸化式、複素数の極形式

方針

Zn=eπiSn/3 の実数性は、指数の中身そのものではなく Sn を3で割った余りで判定する。Zn が実数となるのは Sn0(mod3) のときである。(1)は2回の和を直接数える。(2)は、途中で余り0に戻らないためには、初回に余り1または2へ出て、その後は余り0へ向かう1通りの目を避け続ければよい。(3)は余り0にいる確率 pn の漸化式にまとめ、定常値を引いて解く。

解答

Sn=X1+X2++Xn とおくと Zn=exp(πi3Sn) である。Zn が実数となるのは、偏角 π3Snπ の整数倍となるとき、すなわち Sn0(mod3) のときである。

(1) S2 の取り得る値は 2,1,0,1,2 である。この中で3の倍数は0だけである。したがって Z2 が実数となるのは S2=0 のときで、P(S2=0)=P(X1=0,X2=0)+P(X1=1,X2=1)+P(X1=1,X2=1)=(46)2+21616=1636+236=12である。よって Z2 が実数でない確率は 12 である。

(2) Zk が実数でないことは Sk≢0(mod3) と同値である。最初は S00(mod3) であるから、k=1 で実数でないためには X1=1またはX1=1 でなければならない。その確率は 16+16=13 である。

その後、余りが1または2の状態にいるとする。余り1から余り0へ戻るのは X=1 のときだけ、余り2から余り0へ戻るのは X=1 のときだけである。したがって、どちらの場合も余り0を避ける確率は 116=56 である。これを n1 回続ければよいので、求める確率は 13(56)n1 である。

(3) pn=P(Sn0(mod3)) とおく。n+1 回後に余り0であるには、n 回後に余り0で Xn+1=0 となるか、余り1または2からちょうど余り0へ移るかである。余り1、2のどちらからでも余り0へ移る確率は 16 なので pn+1=46pn+16(1pn)=12pn+16 である。初期値は S0=0 より p0=1 である。

これを pn+113=12(pn13) と変形すると、pn13=(12)n(p013)=23(12)nである。よって pn=13+23(12)n であり、n とすると limnpn=13 である。

別解

解法2(非実状態の行列と1の3乗根を使う)

方針

Sn=X1++Xn の余り1、2を非実状態として2状態の遷移を考える。(2)はこの部分行列の各行和が 5/6 であることから求める。(3)は1の3乗根による余り抽出を使い、Sn0(mod3) の確率を直接計算する。

解答

Sn=X1++Xn とおくとZn=exp(πi3Sn)であり、Zn が実数であることはSn0(mod3)と同値である。

(1)
2回後の余り0の確率は(46)2+2(16)2=12である。よって実数でない確率も12である。

(2)
余り1、2だけを状態として残すと、1回の遷移行列はQ=(4/61/61/64/6)である。各行和は 5/6 だから、いったん非実状態に入った後、次も非実状態に残る条件付き確率は常に 5/6 である。初回に非実となる確率は 1/3 なのでP(Z1,,Znがすべて実数でない)=13(56)n1となる。

(3)
ω3=11+ω+ω2=0 を満たす ω1 をとる。1回の移動の式はF(z)=z+z1+46である。余り0の項を抽出するとpn=13{F(1)n+F(ω)n+F(ω2)n}=13{1+2(12)n}.したがってpn=13+23(12)n,limnpn=13である。

総評

難度5、計算量6、目安時間18分。複素数の形をしているが、実質は Sn を3で割った余りの確率問題である。eπim/3 が実数となる条件を m0(mod3) と言い換えるのが入口になる。(2)は最終時刻だけでなく途中の全時刻で余り0を避ける問題であり、初回 1/3 と継続確率 5/6 を分ける。漸化式と1の3乗根による抽出が同じ一般項を与えるので相互検算できる。

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出典: 大阪大学 2020年度 一般選抜(前期日程)数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。