方針
積分核 cos(x−t) を加法定理で cosxcost+sinxsint に分ける。すると積分部分は cosx と sinx の係数だけをもつ形になるので、未知定数 A,B を定義して f(x)=Acosx+(1+B)sinx と表す。最後にこの形を A,B の定義へ代入し、自己一致する値を求める。
解答
A=π1∫0πf(t)costdt,B=π1∫0πf(t)sintdtとおく。加法定理より cos(x−t)=cosxcost+sinxsint であるから、与えられた式は f(x)=sinx+Acosx+Bsinx すなわち f(x)=Acosx+(1+B)sinx と書ける。
この式を A,B の定義に代入する。まずA=π1∫0π{Acost+(1+B)sint}costdt=π1(A∫0πcos2tdt+(1+B)∫0πsintcostdt).ここで ∫0πcos2tdt=2π,∫0πsintcostdt=0 だから A=2A である。よって A=0 である。
同様にB=π1∫0π{Acost+(1+B)sint}sintdt=π1(A∫0πsintcostdt+(1+B)∫0πsin2tdt)=21+Bである。したがって B=1 となる。
以上より f(x)=2sinx である。実際、この f(x) を元の式に代入すると条件を満たすので、求める関数は f(x)=2sinx である。
別解
解法2
方針
積分部分を I(x) と置いて2回微分し、I′′=−I を利用する。これにより f′′=−f が得られるので、f=Acosx+Bsinx と表し、元の式から係数を決める。
解答
I(x)=π1∫0πf(t)cos(x−t)dtとおく。f は連続なので I は2回微分でき、I′′(x)=−I(x)である。与式 f(x)=sinx+I(x) を2回微分するとf′′(x)=−sinx−I(x)=−f(x).したがってf(x)=Acosx+Bsinxと書ける。
元の式で x=0 とおくとA=f(0)=π1∫0πf(t)costdt.右辺へ f(t)=Acost+Bsint を代入するとA=2A,よって A=0 である。
次に与式を1回微分し x=0 とおくとB=f′(0)=1+π1∫0πf(t)sintdt.A=0 と f(t)=Bsint を用いるとB=1+2B.したがって B=2 である。よってf(x)=2sinx.代入すれば、すべての実数 x で元の式を満たすことも確認できる。
総評
難度6、計算量5。積分核を加法定理で分けると未知関数は sinx,cosx の一次結合に限られる。微分法でも f′′=−f が得られ、係数条件から一意に 2sinx と決まる。 2解法の最終値を照合し、境界条件・符号・定義域も確認した。
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出典: 東北大学 1996年度 後期日程 理系 第5問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。