方針
(1) は命題(B)を k=2 から始め、k での成立と(A)の j=k+1 付近の不等式を組み合わせて k+1 へ進める。(2)は bj が正の等差数列であることから bj2−bj−1bj+1 を直接計算し、対数を取って(A)に直す。(3)は(1)(2)を k=n に適用し、bn, bn+1 の具体値へ戻す。
解答
(1) k=2 のとき、(B)は a2≧2a1+a3 であり、これは(A)そのものである。
次に、ある k について(B)が成り立つと仮定する。すなわち ak≧ka1+(k−1)ak+1 である。これを変形すると a1≦kak−(k−1)ak+1 である。また(A)を j=k+1 に用いると ak+1≧2ak+ak+2 すなわち ak+ak+2≦2ak+1 である。したがってa1+kak+2≦kak−(k−1)ak+1+kak+2=k(ak+ak+2)−(k−1)ak+1≦2kak+1−(k−1)ak+1=(k+1)ak+1となる。よって ak+1≧k+1a1+kak+2 であり、k+1 について(B)が成り立つ。数学的帰納法により、2≦k≦n のすべてで(B)が成り立つ。
(2) bj=1+(j−1)/(n(n−1)) は正の等差数列であり、公差を d=1/(n(n−1)) とおくと bj−1=bj−d,bj+1=bj+d である。したがって bj2−bj−1bj+1=bj2−(bj−d)(bj+d)=d2>0 である。よって bj2≧bj−1bj+1 である。すべての bj は正なので、底が1より大きい対数 log2 を取ると不等号の向きは変わらず、2log2bj≧log2bj−1+log2bj+1 となる。aj=log2bj だから aj≧2aj−1+aj+1 であり、(A)を満たす。
(3)
(1)(2)より、k=n として an≧na1+(n−1)an+1 が成り立つ。ここで b1=1 なので a1=log21=0 である。したがって nan≧(n−1)an+1 である。
また bn=1+n(n−1)n−1=1+n1 であり、bn+1=1+n(n−1)n=1+n−11 である。ゆえにnlog2(1+n1)≧(n−1)log2(1+n−11)となる。底が1より大きい指数関数に戻せば (1+n1)n≧(1+n−11)n−1 が得られる。
別解
解法2
方針
(1) は隣接差が単調減少することから平均の不等式を直接示す。(2)は等差数列の積の差、(3)はk=nへの適用で結ぶ。
解答
(1) Δj=aj−aj−1(2≦j≦n+1)と置く。(A)はΔj≧Δj+1と同値である。したがってak−a1=j=2∑kΔj≧(k−1)Δk+1=(k−1)(ak+1−ak).整理するとkak≧a1+(k−1)ak+1,すなわち(B)を得る。これは帰納法で示した主解答の内容を、差の単調性としてまとめたものである。
(2)
公差 d=1/{n(n−1)} を用いればbj−1=bj−d,bj+1=bj+d.よってbj2−bj−1bj+1=d2>0.正数なので底2の対数を取り、2aj≧aj−1+aj+1.(3)
(B)を k=n に使い、a1=0 を代入するとnan≧(n−1)an+1.bn=1+n1,bn+1=1+n−11だからnlog2(1+n1)≧(n−1)log2(1+n−11).指数へ戻して所望の不等式を得る。
総評
難度7、計算量6。目安時間は28分。(1)の帰納法は、仮定の式を a1≦kak−(k−1)ak+1 と直してから(A)を差し込むのが要点である。(2)では「等差数列だから」と済ませず、bj2−bj−1bj+1=d2 を書くと対数を取る理由が明確になる。(3)は a1=0 を忘れると係数が合わない。誘導の各段階が次の設問に直接つながる構成なので、式変形の向きを丁寧に保つことが得点になる。
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出典: 東北大学 1998年度 後期 文系 第4問(b)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。