Evolton

東北大学 1998年度 後期日程 第2次学力試験 数列・指数・対数文系(後期)数学 第4問(b)

nは2以上の自然数とする.

(1) 数列a1,a2,,an+1において,
2jnを満たすすべてのjに対して,不等式(A)ajaj1+aj+12が成り立つとき,2knを満たすすべてのkに対して,不等式(B)aka1+(k1)ak+1kが成り立つことを数学的帰納法を用いて示せ.
(2) 1jn+1を満たすjに対して,
bj=1+j1n(n1)とし,aj=log2bjとすると,
数列a1,a2,,an+1は不等式(A)を満たすことを示せ.
(3) 次の不等式が成り立つことを示せ.(1+1n)n(1+1n1)n1

難易度7/ 10計算量6/ 10目安28

数列指数・対数論証・証明 数学的帰納法不等式評価、誘導利用

方針

(1) は命題(B)を k=2 から始め、k での成立と(A)の j=k+1 付近の不等式を組み合わせて k+1 へ進める。(2)は bj が正の等差数列であることから bj2bj1bj+1 を直接計算し、対数を取って(A)に直す。(3)は(1)(2)を k=n に適用し、bn, bn+1 の具体値へ戻す。

解答

(1) k=2 のとき、(B)は a2a1+a32 であり、これは(A)そのものである。

次に、ある k について(B)が成り立つと仮定する。すなわち aka1+(k1)ak+1k である。これを変形すると a1kak(k1)ak+1 である。また(A)を j=k+1 に用いると ak+1ak+ak+22 すなわち ak+ak+22ak+1 である。したがってa1+kak+2kak(k1)ak+1+kak+2=k(ak+ak+2)(k1)ak+12kak+1(k1)ak+1=(k+1)ak+1となる。よって ak+1a1+kak+2k+1 であり、k+1 について(B)が成り立つ。数学的帰納法により、2kn のすべてで(B)が成り立つ。

(2) bj=1+(j1)/(n(n1)) は正の等差数列であり、公差を d=1/(n(n1)) とおくと bj1=bjd,bj+1=bj+d である。したがって bj2bj1bj+1=bj2(bjd)(bj+d)=d2>0 である。よって bj2bj1bj+1 である。すべての bj は正なので、底が1より大きい対数 log2 を取ると不等号の向きは変わらず、2log2bjlog2bj1+log2bj+1 となる。aj=log2bj だから ajaj1+aj+12 であり、(A)を満たす。

(3)
(1)(2)より、k=n として ana1+(n1)an+1n が成り立つ。ここで b1=1 なので a1=log21=0 である。したがって nan(n1)an+1 である。

また bn=1+n1n(n1)=1+1n であり、bn+1=1+nn(n1)=1+1n1 である。ゆえにnlog2(1+1n)(n1)log2(1+1n1)となる。底が1より大きい指数関数に戻せば (1+1n)n(1+1n1)n1 が得られる。

別解

解法2

方針

(1) は隣接差が単調減少することから平均の不等式を直接示す。(2)は等差数列の積の差、(3)はk=nへの適用で結ぶ。

解答

(1) Δj=ajaj1(2jn+1)と置く。(A)はΔjΔj+1と同値である。したがってaka1=j=2kΔj(k1)Δk+1=(k1)(ak+1ak).整理するとkaka1+(k1)ak+1,すなわち(B)を得る。これは帰納法で示した主解答の内容を、差の単調性としてまとめたものである。

(2)

公差 d=1/{n(n1)} を用いればbj1=bjd,bj+1=bj+d.よってbj2bj1bj+1=d2>0.正数なので底2の対数を取り、2ajaj1+aj+1.(3)

(B)を k=n に使い、a1=0 を代入するとnan(n1)an+1.bn=1+1n,bn+1=1+1n1だからnlog2(1+1n)(n1)log2(1+1n1).指数へ戻して所望の不等式を得る。

総評

難度7、計算量6。目安時間は28分。(1)の帰納法は、仮定の式を a1kak(k1)ak+1 と直してから(A)を差し込むのが要点である。(2)では「等差数列だから」と済ませず、bj2bj1bj+1=d2 を書くと対数を取る理由が明確になる。(3)は a1=0 を忘れると係数が合わない。誘導の各段階が次の設問に直接つながる構成なので、式変形の向きを丁寧に保つことが得点になる。

冊子PDFで見る東北大の数列の問題で問題集を作る

出典: 東北大学 1998年度 後期 文系 第4問(b)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。