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東北大学 2012年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第2問

mを実数とする。
座標平面上で直線y=xに関する対称移動を表す1次変換をfとし,
直線y=mxに関する対称移動を表す1次変換をgとする。
以下の問いに答えよ。

(1) 1次変換gを表す行列Aを求めよ。

(2) 合成変換g∘fを表す行列Bを求めよ。

(3) B3=(1001)
となるmをすべて求めよ。

難易度6/ 10計算量6/ 10目安28分

行列、図形と方程式 式変形、回転・拡大、必要十分条件

方針

(1) は直線 y=mx 方向の成分を保ち、それに垂直な成分の符号を反転する対称移動の行列を作る。(2)は y=x に関する対称移動の行列を右から掛けて合成行列を得る。(3)は得られた行列が回転行列の形になっていることを読み取り、3乗して単位行列になる回転角 0,2π/3,4π/3 に対応する m を解く。

解答

(1)
直線 y=mx 方向のベクトルを u⃗=(1,m) とする。この直線に関する対称移動では、u⃗ 方向の成分はそのまま残り、垂直方向の成分は符号が反転する。計算すると、点 (x,y) の像 (X,Y) は(XY)=11+m2(1−m22m2mm2−1)(xy)である。したがってA=11+m2(1−m22m2mm2−1)である。

(2)
直線 y=x に関する対称移動 f は、座標を入れ替える変換なので、行列はF=(0110)である。合成 g∘f は先に f、次に g を行うので、行列は B=AF である。よってB=11+m2(1−m22m2mm2−1)(0110)=11+m2(2m1−m2m2−12m)である。

(3)
(2)の行列はB=(cos⁡ϕ−sin⁡ϕsin⁡ϕcos⁡ϕ)の形であり、cos⁡ϕ=2m1+m2,sin⁡ϕ=m2−11+m2 と読める。したがって B は原点まわりの回転を表す。 B3=E となるには、3回回転した角が 2π の整数倍であればよい。したがって ϕ≡0,2π3,4π3(mod2π) である。 ϕ≡0 のときは sin⁡ϕ=0、cos⁡ϕ=1 なので m2−11+m2=0 かつ 2m/(1+m2)=1 となり、m=1 である。

残り2つの場合は cos⁡ϕ=−1/2 であるから 2m1+m2=−12 を解けばよい。すなわち m2+4m+1=0 であり、m=−2±3 を得る。よって m=1,−2+3,−2−3 である。

別解

解法2(2直線の角による回転)

方針

直線 y=mx の方向角を θ とする。反射行列を方向ベクトルから作り、g∘f は2本の軸のなす角の2倍だけ回転する変換であることを使う。3回の合成が恒等変換になる方向角を先に求め、最後に m=tan⁡θ へ戻す。

解答

(1)
tan⁡θ=m とし、直線 y=mx の単位方向ベクトルをe=(cos⁡θ,sin⁡θ)=11+m2(1,m)とする。任意のベクトル v をこの直線に関して反射するとv⟼2(e⋅v)e−vである。したがってA=2e t ⁣e−E=11+m2(1−m22m2mm2−1).(2)
直線 y=x に関する反射行列はF=(0110)だから、B=AF=11+m2(2m1−m2m2−12m).(3)
直線 y=x の方向角は π/4 である。2直線に関する反射を続けて行うと、
その合成は原点を中心とする角2(θ−π4)の回転になる。よって B3=E であるための必要十分条件は6(θ−π4)≡0(mod2π)である。直線の方向角を π を法として考えるとθ≡π4,π4+π3,π4−π3(modπ).したがってm=tan⁡θ=1,−2−3,−2+3.

総評

難度6、目安時間28分。対称移動の行列を作り、合成が回転になることを見抜く問題である。行列の掛ける順序は g∘f なので AF である点に注意したい。(3)は行列を直接3乗するより、回転角を読むと見通しがよい。幾何的な別解も自然で、2直線の対称移動の合成が回転になる事実を使うと、答えの候補を短く導ける。 行列の成分計算と、反射軸の角から合成回転を読む方法を独立答案として分け、どちらでも3つの傾きを漏れなく確認できる形にした。

冊子PDFで見る東北大の行列の問題で問題集を作る

出典: 東北大学 2012年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。