方針
回転行列と直線 y=x に関する対称移動の行列を順に掛け,直線 y=3x に関する対称移動の行列と比較する。別解として,方向角 ϕ の半直線が回転後の反射でどの方向に移るかを追い,反射軸の角度を比較して θ を求める。
解答
角 θ の回転を表す行列はR=(cosθsinθ−sinθcosθ)である。また,直線 y=x に関する対称移動を表す行列はS=(0110)である。
問題では,まず回転を行い,さらに直線 y=x に関する対称移動を行うので,合成変換はSR=(0110)(cosθsinθ−sinθcosθ)=(sinθcosθcosθ−sinθ)で表される。
一方,直線 y=3x は x 軸となす角が 3π である。角 φ の直線に関する対称移動の行列は(cos2φsin2φsin2φ−cos2φ)であるから,φ=π/3 として(cos32πsin32πsin32π−cos32π)=(−21232321)である。
したがって係数を比較して sinθ=−21,cosθ=23 である。0≦θ<2π より θ=611π である。
2本の反射軸
反射軸の方向角は π/4 と π/3。合成では角の向きを追う。
別解
解法2(方向角)
方針
方向角が ϕ の半直線を追跡する。角 θ の回転後、方向角 π/4 の直線で反射すると π/2−θ−ϕ へ移る。一方、方向角 π/3 の直線での反射は 2π/3−ϕ へ移るので、両者を比較する。
解答
方向角が ϕ の半直線を考える。まず角 θ だけ回転すると、方向角はϕ+θになる。
次に直線 y=x、すなわち方向角 π/4 の直線に関して対称移動すると、方向角は2⋅4π−(ϕ+θ)=2π−θ−ϕになる。
一方、直線 y=3x の方向角は π/3 であり、この直線に関する対称移動ではϕ⟼2⋅3π−ϕ=32π−ϕである。2つの変換が一致するための条件は2π−θ−ϕ≡32π−ϕ(mod2π)である。したがってθ≡−6π(mod2π).0≦θ<2π よりθ=611πである。
総評
難度は10段階中4、計算量は10段階中3。目安時間は15分程度で、行列表示を覚えていれば確実に取りたい問題である。注意点は合成の順序で、先に回転してから対称移動するため行列は SR となる。別解のように方向角で考えると、反射が「角度を 2α−ϕ に移す」操作であることから一気に求まる。どちらの方法でも、最後に 0≦θ<2π の範囲へ戻すことを忘れない。
冊子PDFで見る東北大の行列の問題で問題集を作る
出典: 東北大学 2010年度 後期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。