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東北大学 2013年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第5問

2次の正方行列AA=(12121212)で定める。
n=1,2,3,に対して,点Pn(xn,yn)を関係式(xnyn)=A(xn1yn1)+(10)(n=1,2,3,)で定める。ただし,x0=1y0=0とする。

(1) A4を求めよ。

(2) n=0,1,2,に対して,(xnyn)=(EAn+1)(EA)1(10)が成り立つことを示せ。ただし,Eは2次の単位行列とする。

(3) 原点OからPnまでの距離OPnが最大となるnを求めよ。

難易度6/ 10計算量6/ 10目安25

行列数列 漸化式の変形回転・拡大、計算整理

方針

行列 A は原点中心の 135 回転を表すので、まず A4A8 の周期性を押さえる。点 Pn の漸化式は、初期値も加えて E+A++An の行列和として表す。最後は A8=E により Pnn の8で割った余りだけで決まることを使い、8通りの OPn2 を比較する。

解答

(1) A=(12121212)は、原点を中心とする 135 の回転を表す行列である。したがって A4135×4=540 の回転、すなわち 180 の回転を表す。よって A4=E である。

(2) pn=(xnyn),e=(10)とおく。条件はpn=Apn1+e,p0=eである。これを繰り返すと pn=Anp0+(E+A++An1)e であり、p0=e だから pn=(E+A+A2++An)e である。

また、(EA)(E+A+A2++An)=EAn+1 である。EA は逆行列をもつので、E+A+A2++An=(EAn+1)(EA)1 である。したがって(xnyn)=(EAn+1)(EA)1(10)が成り立つ。

(3)
(1) より A8=E である。したがって pn=(E+A++An)en8 で割った余りだけで決まる。 e を順に 135 ずつ回転したベクトルを加えていくと、n0,1,,7(mod8) に対する OPn2 はそれぞれ1,22,322,422,322,22,1,0となる。たとえば n=3 ではp3=(10)+(1212)+(01)+(1212)=(121)なので OP32=1+(21)2=422 である。

上の8つの値のうち最大は 422 であり、これは n3(mod8) のときである。したがって求める nn=8m+3(m=0,1,2,) である。

別解

解法2(複素数と弦の長さ)

方針

Pn を複素数 zn=xn+iyn で表す。行列 A は複素数 q=e3πi/4 を掛ける回転なので、zn=1+q++qn となる。距離は等比和の分子 1qn+1、すなわち単位円上の弦の長さで比較する。

解答

q=12+12i=e3πi/4とおく。行列 A の作用は複素数に q を掛けることに対応する。

(1) q4=e3πi=1であるから、A4=E である。

(2)
zn=xn+iyn とおけば、漸化式はzn=qzn1+1,z0=1となる。これを繰り返してzn=1+q+q2++qnを得る。これはベクトル表示では(xnyn)=(E+A++An)(10)=(EAn+1)(EA)1(10)であり、示す式が得られる。

(3)
q1 よりOPn=zn=1qn+11q=sin3(n+1)π8sin3π8.分母は一定である。分子が最大値1をとる条件は3(n+1)4(mod8)である。3の逆元は3なのでn+14(mod8),n3(mod8).したがってn=8k+3(k=0,1,2,)である。これは、単位円上の点 1qn+1 の弦が直径になるときに距離が最大になる、という幾何的意味をもつ。

総評

難度6、目安時間25分。行列を単なる計算対象ではなく 135 回転として見ると、A4=EA8=E がすぐに分かる。採点上は、漸化式に初期値 p0=(1,0)T が含まれるため、和が E+A++An までになる点を正確に書く必要がある。最後の比較では距離そのものではなく OPn2 を並べると根号の扱いが軽い。 複素数を使えるなら、解法2では8通りの座標計算を弦の長さ1本に置き換えられる。

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出典: 東北大学 2013年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。