方針
時刻 t に水面は z=f(t) まで上がるので,容器内で増えた水面下の体積は πR2f(t) である。一方,回転体は下へ t だけ動いているため,その時刻に水面下へ入った部分は,移動前の高さで 0≦z≦t+f(t) にあたる部分である。したがって ∫0t+f(t)r(z)2dz=R2f(t) を立てる。与えられた f(t)=et−t−1 では t+f(t)=et−1 となるので,u=et−1 に置き換えて微分し,r(z) を決定する。
解答
時刻 t に水面は z=f(t) まで上昇している。容器の断面積は πR2 だから,水面上昇によって増えた水面下の体積は πR2f(t) である。
一方,回転体は毎秒1の速さで下に動くので,時刻 t では移動前の高さ z にあった点が高さ z−t に移っている。この点が水面下にある条件は z−t≦f(t) すなわち z≦t+f(t) である。回転体はもともと z≧0 にあるので,時刻 t に水面下に入っている部分は,移動前の高さで 0≦z≦t+f(t) にあたる部分である。
高さ z における回転体の断面積は πr(z)2 である。したがって押しのけた体積はπ∫0t+f(t)r(z)2dzであり,体積のつり合いから∫0t+f(t)r(z)2dz=R2f(t)が成り立つ。
ここで f(t)=et−t−1 だから t+f(t)=et−1 である。u=et−1 とおくと t=log(1+u) であり,f(t)=u−log(1+u) となる。したがってすべてのu≧0について∫0ur(z)2dz=R2{u−log(1+u)}である。
両辺を u で微分すると,連続性より r(u)2=R2(1−1+u1)=R21+uu を得る。r(u)≧0 であるから r(u)=R1+uu である。文字を z に戻すと r(z)=R1+zz(z≧0) となる。
この関数は r(0)=0 を満たし,z≧0 で 0≦1+zz<1 だから 0≦r(z)<R も満たす。よってこれが求める関数である。
別解
解法2
方針
水面上昇量と沈んだ回転体の体積の等式を立てた後,置換をせず時刻tで直接微分する。積分の上端et−1の微分を忘れずに連鎖律を使い,最後にz=et−1と読み替える。
解答
時刻tに水面下へ入っている回転体は,移動前の高さで0≦z≦t+f(t)にあった部分である。したがって体積保存よりπ∫0t+f(t)r(z)2dz=πR2f(t).f(t)=et−t−1を代入すると∫0et−1r(z)2dz=R2(et−t−1).(1)両辺をtで微分する。rは連続であるから,積分の上端の微分も含めてr(et−1)2et=R2(et−1).ここでz=et−1とおけばet=1+zである。t≧0が動くとz≧0をすべて動くので,r(z)2(1+z)=R2z(z≧0).r(z)≧0よりr(z)=R1+zz(z≧0).実際,r(0)=0,0≦1+zz<1なので,問題の条件0≦r(z)<Rも満たす。
総評
水面上昇量と沈んだ回転体の体積を対応させる立式が中心の問題である。難易度は6,計算量は5程度で,想定時間は18分前後。最大の注意点は,時刻 t に水面下へ入っている部分が,移動前の高さで 0≦z≦t+f(t) になること。ここを 0≦z≦f(t) としてしまうと全く別の式になる。最後は求めた r(z) が r(0)=0 と 0≦r(z)<R を満たすことまで確認すると,関数決定問題として答案が完結する。 2解法の結論を相互照合し,定義域,端点,場合分け,図示範囲を確認した。
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出典: 東京大学 1996年度 前期日程 第2次学力試験 理系 前期 第5問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。