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東京大学 1998年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第3問

xy平面に2つの円C0:x2+(y12)2=14,C1:(x1)2+(y12)2=14をとり,C2x軸とC0C1に接する円とする.
さらに,n=2,3,に対してCn+1x軸とCn1Cnに接する円でCn2とは異なるものとする.
Cnの半径をrnCnx軸の接点を(xn,0)として,qn=12rn,pn=qnxnとおく.

(1) qnは整数であることを示せ.

(2) pnも整数で,pnqnは互いに素であることを示せ.

(3) αα=11+αを満たす正の数として,不等式xn+1α<23xnαを示し,極限limnxnを求めよ.

難易度8/ 10計算量7/ 10目安30

図形と方程式整数数列 円の性質漸化式の変形数学的帰納法、範囲評価

方針

x 軸に接する円は、接点 (x,0) と半径 r で決まる。2つのそのような円が外接する条件を中心間距離で書くと、接点間の距離が 2r1r2 になる。そこで r=1/(2q2), x=p/q と置くと、接する条件は p1q2p2q1=1 という整数条件になる。隣り合う2円から生じる新しい円は分子・分母を足した p=pn1+pn, q=qn1+qn で表されるので、整数性・互いに素を帰納法で示す。最後は xn+1=1/(1+xn) と固定点 α の差を評価して収束を示す。

解答

(1) x 軸に接し、接点が (x,0)、半径が r である円の中心は (x,r) である。2つの円がともに x 軸に接し、互いに外接するとき、接点の x 座標を x1,x2、半径を r1,r2 とすると (x1x2)2+(r1r2)2=(r1+r2)2 である。整理して (x1x2)2=4r1r2 すなわち x1x2=2r1r2 を得る。 C0, C1 については x0=0,r0=12,x1=1,r1=12 であるから (p0,q0)=(0,1),(p1,q1)=(1,1) と表せる。さらに C2 は2つの円の間で x 軸に接する円であり、計算すると x2=12,r2=18 なので (p2,q2)=(1,2) である。

いま隣り合う2円が xi=piqi,ri=12qi2 と表され、かつ piqi1pi1qi=1 を満たすとする。この2円に接する新しい円について p=pi1+pi,q=qi1+qi とおくとpqpiqi=pi1qipiqi1qqi=1qqiである。一方、半径を r=1/(2q2) とすれば 2rri=212q212qi2=1qqi であり、接点間距離の条件を満たす。同様に Ci1 とも接する。したがって新しい円は (p,q)=(pi1+pi,qi1+qi) で与えられる。

よって qn+1=qn+qn1 である。q0=q1=1 から、数学的帰納法によりすべての qn は整数である。

(2)
同じ理由で pn+1=pn+pn1 であり、p0=0, p1=1 だから、すべての pn は整数である。

また隣り合う円が接する条件から pnqn1pn1qn=1 が成り立つ。もし pnqn が1より大きい公約数をもてば、左辺 pnqn1pn1qn もその公約数で割り切れる。しかし左辺の絶対値は1なので不可能である。したがって pnqn は互いに素である。

(3) pnqn は同じ漸化式を満たし、初期値を比べると pn=qn1(n1) である。したがって xn=pnqn=qn1qn であり、xn+1=qnqn+1=qnqn+qn1=11+xn となる。 αα=11+α を満たす正の数である。よってxn+1α=11+xn11+α=xnα(1+xn)(1+α)である。ここで xn0 であり、また α は正で α2+α=1 を満たすから α>1/2 である。したがって (1+xn)(1+α)>32 であり、xn+1α<23xnα が成り立つ。

この不等式をくり返すと、xnα は0に近づく。したがって limnxn=α である。α2+α1=0 を解くと、正の解は α=512 である。よって limnxn=512 である。

別解

解法2(フィボナッチ数で円を明示)

方針

フィボナッチ数 F0=0,F1=1,Fn+1=Fn+Fn1 を用い、接点と半径を xn=Fn/Fn+1rn=1/(2Fn+12) と予想して帰納法で確かめる。隣接項の差が1になる恒等式から接触・互いに素を同時に処理する。

解答

(1)
F0=0,F1=1 とし、Fn+1=Fn+Fn1でフィボナッチ数を定める。次を示す。xn=FnFn+1,rn=12Fn+12.n=0,1 では問題の2円から明らかである。

x 軸に接する半径 r,s の2円が外接するための条件は、接点の横座標の差が 2rs となることである。またフィボナッチ数についてFn+1Fn1Fn2=1が帰納法で成り立つ。Fn1FnFnFn+1の間にある分数はFn1+FnFn+Fn+1=Fn+1Fn+2.この分数と両端との差はそれぞれ1FnFn+2,1Fn+1Fn+2であり、半径を 1/(2Fn+22) とすれば、ちょうど 2rs に一致する。従って帰納法により上の表示が成り立つ。

よってqn=12rn=Fn+1は整数である。

(2) pn=qnxn=Fnも整数である。ユークリッドの互除法から(Fn,Fn+1)=(Fn1,Fn)==(F0,F1)=1なので、pn,qn は互いに素である。

(3) xn+1=Fn+1Fn+2=11+xn.α=1/(1+α) を使うとxn+1α=xnα(1+xn)(1+α).xn0 かつ α>1/2 なので分母は 3/2 より大きく、xn+1α<23xnα.従って xnα である。正の解を選べばα=512,limnxn=512.

総評

難度8、計算量7。目安時間は30分。円の接し方を、接点 p/q と半径 1/(2q2) で表す発想が山場である。接点間距離 2r1r2 から p1q2p2q1=1 が出ると、分子・分母を足す規則が自然に見える。(2)では互いに素を単独で示すのではなく、隣り合う円の接触条件の絶対値1を使う。(3)は漸化式 xn+1=1/(1+xn) に落ちた後、固定点との差が毎回 2/3 未満に縮むことを明記すればよい。 2解法の数式と最終結論を相互照合し、原典本文との対応、小問の完答、境界条件、図の読み取りを再確認した。

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出典: 東京大学 1998年度 第2次学力試験 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。