Evolton

東京大学 2005年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第1問

x>0に対しf(x)=logxxとする。

(1) n=1,2,に対しf(x)の第n次導関数は,数列{an}{bn}を用いてf(n)(x)=an+bnlogxxn+1と表されることを示し,anbnに関する漸化式を求めよ。

(2) hn=k=1n1kとおく。hnを用いてanbnの一般項を求めよ。

難易度6/ 10計算量5/ 10目安20

微分数列指数・対数 数学的帰納法漸化式の変形、階差数列

方針

(1)n=1 を直接確かめたうえで,仮定した形を微分し,分子の定数項と logx の係数を比較する。微分により分母の次数が1つ増え,分子は再び「定数項 + logx の係数」の形になるので,数学的帰納法で表示が示せる。(2)はまず bn+1=(n+1)bn から bn を求め,次に an=(1)n1n!cn と正規化して調和和の漸化式に直す。別解として,積の高階微分公式を用いると一般項を直接確認できる。

解答

(1)

まず f(x)=(logxx1)=1logxx2 である。したがって a1=1,b1=1 とおけば,n=1 のとき表示は成り立つ。

ある n1 について f(n)(x)=an+bnlogxxn+1 と表されていると仮定する。これを微分するとf(n+1)(x)=bnx1xn+1+(an+bnlogx){(n+1)xn2}=bn(n+1)an(n+1)bnlogxxn+2である。よって n+1 のときも同じ形で表され,係数は an+1=bn(n+1)an,bn+1=(n+1)bn を満たす。以上より,すべての n=1,2, について表示が成り立つ。

(2)

まず b1=1,bn+1=(n+1)bn より,符号と階乗を追うと bn=(1)nn! である。実際,n=1 で正しく,bn=(1)nn! なら bn+1=(n+1)(1)nn!=(1)n+1(n+1)! となる。

次に an を求める。bn=(1)nn! を漸化式に代入して an+1=(1)nn!(n+1)an である。ここで an=(1)n1n!cn とおく。a1=1 より c1=1 である。また (1)n(n+1)!cn+1=(1)nn!(n+1)(1)n1n!cn だから,両辺を (1)n(n+1)! で割って cn+1=1n+1+cn を得る。したがって cn=1+12++1n=hn である。よって an=(1)n1n!hn,bn=(1)nn! である。

条件・検算

初期値 a1=1,b1=1 と漸化式へ一般項を戻して検算する。高階微分の符号と分母指数を各段階で確認する。

別解

解法2(積の高階微分による直接計算)

方針

f(x)=(logx)x1 に積の高階微分公式を適用する。logxx1 の各階導関数を代入すると、組合せ係数と階乗の約分から調和和が直接現れる。

解答

(1) (logx)(k)=(1)k1(k1)!xk(k1),(x1)(m)=(1)mm!xm1である。積の高階微分公式からf(n)(x)=logx(1)nn!xn1+k=1nnCk{(1)k1(k1)!xk}{(1)nk(nk)!xn+k1}.よって所定の形で表される。さらにこの形を1回微分すればan+1=bn(n+1)an,bn+1=(n+1)bnを得る。

(2)

各項を整理するとf(n)(x)=(1)nn!logxxn+1+(1)n1n!xn+1k=1n1k=(1)n1n!hn+(1)nn!logxxn+1.したがってan=(1)n1n!hn,bn=(1)nn!.

総評

難度6、計算量5。高階導関数を形で管理し、係数比較から漸化式を作る標準的な問題で、目安は20分程度である。(1)では分母の指数が n+2 になることと、logx の係数が (n+1)bn になることを丁寧に書くと符号ミスを防げる。(2)は bn を先に決め、an(1)n1n! で割って調和和に帰着するのが安定する。別解の積の高階微分は速いが、組合せ係数と階乗が約分されて 1k が出るところを省くと説得力が落ちる。

問題・解答の積分・総和・極限は原則として独立行に置き、分数は表示サイズで可読性を確保した。図は原問題の関係または答案の論理を確認するための独自作図であり、条件・境界・結論を本文だけでも追えるようにした。

冊子PDFで見る東大の微分の問題で問題集を作る

出典: 東京大学 2005年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。