方針
(1) は二項定理で を と低い次数のべきに分け、 に関する帰納法で示す。(2)(3)は の式から の式を引き、 を使って係数比較する。(3)(4)では という対称性も使う。
解答
以下、組合せ数は範囲外の添字に対して と約束する。
(1) ではとすればよい。 乗の和がそれぞれ次数 の多項式で表されると仮定する。二項定理からこれを について加えると右辺は帰納法の仮定により の多項式であり、最高次項は だから次数は である。よって所望の多項式 が存在する。また、自然数で成り立つ等式を多項式の恒等式として見ることによりが成り立つ。
(2) 求める恒等式から を に替えたものを引くと二項定理により右辺は の係数を比較すると逆にこの係数を選べば、両辺の と における差が一致する。両辺は で0だから、元の恒等式も成り立つ。
(3) まず一般にが成り立つ。実際、右辺の多項式と左辺の多項式は、ともに隣り合う値の差が となり、 で0となるので一致する。
したがって各 は に関して符号を変える。(3)の右辺でも同じことが必要である。因子 は で変わらないからでなければならない。よってこの値を用い、(2)と同様に と における差をとると係数比較によりこの係数なら差が一致し、両辺は で0だから、十分性も成り立つ。
(4) とおく。 を微分した式と、 の 倍を比較するとしたがって多項式 は定数である。
は奇数なので、上で示した対称性から は に関して対称であり一方、 は偶数なので は同じ点に関して符号を変えよって であり、定数多項式 は恒等的に0である。したがってが示された。
総評
難度9,計算量8.目安時間は45分以上.後期3問の中でも最難関であり,完答だけを狙って時間を使い切らない判断も重要である.全小問を貫く核はという有限差分である.(1)でこの恒等式を準備し,(2)(3)では求める恒等式の両辺に同じ差を取って係数比較へ落とす.差が一致するだけで終わらず,差を取った両辺の差が周期1の多項式,したがって定数であり,で0になることまで書けば十分性も明確になる.
(3) のは,に対する偶奇性から先に決めると展開量を減らせる.二項係数の添字が範囲外なら0とする約束を明示し,の指数と添字を逆算するのが安全である.(4)ではが定数であることと,が奇数であるためで両項が0になることを分けて示す.得点戦略としては,まず(1)を確保し,次に(2)の差分と係数,(3)の,最後に(4)の順で積み上げると部分点を残しやすい.