Evolton

東京大学 2011年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第6問

(1) xyを実数とし,x>0とする。
tを変数とする2次関数f(t)=xt2+yt0t1における最大値と最小値の差を求めよ。

(2) 次の条件を満たす点(x,y)全体からなる座標平面内の領域をSとする。

x>0かつ,実数z0t1の範囲のすべての実数tに対して0xt2+yt+z1を満たすようなものが存在する。

Sの概形を図示せよ。

(3) 次の条件を満たす点(x,y,z)全体からなる座標空間内の領域をVとする。

0x1かつ,0t1の範囲のすべての実数tに対して,0xt2+yt+z1が成り立つ。

Vの体積を求めよ。

難易度8/ 10計算量8/ 10目安35

関数微分積分図形と方程式 場合分け、範囲評価、体積計算定積分評価

方針

(1)x>0 なので f(t)=xt2+yt が下に凸(上に開く)であることを使う。最大値は端点のどちらか、最小値は頂点が区間内にあれば頂点、なければ端点で生じる。境界は y=0,x,2x で分かれる。(2) は、ある z を足して全値を [0,1] に収められる条件が、xt2+yt の最大値と最小値の差が1以下であることに等しいと読む。(3) では固定した (x,y) に対して許される z の長さが 1R(x,y) になる。ただし 0x1 なので、(2) のうち 0<x1 の帯だけを使い、y を4区間に分けて断面積を出してから x で積分する。

解答

(1) x>0 なので f(t)=xt2+yt は下に凸、すなわち上に開く2次関数である。端点での値は f(0)=0,f(1)=x+y である。また頂点の t 座標は t=y2x であり、頂点での値は y24x である。

最大値と最小値の差を R(x,y) と書く。下に凸の2次関数なので、最大値は区間の端点で生じる。一方、最小値は頂点が [0,1] に入るかどうかで変わる。

まず y0 のとき、頂点は t0 にあり、[0,1] では f(t) は増加する。したがって最小値は 0、最大値は x+y であり R(x,y)=x+y である。

次に xy0 のとき、頂点は [0,1] に入り、さらに x+y0 である。したがって最大値は f(1)=x+y、最小値は頂点での値 y2/(4x) である。よって R(x,y)=x+y+y24x=(2x+y)24x である。

次に 2xyx のとき、頂点は [0,1] に入り、x+y0 である。したがって最大値は f(0)=0、最小値は y2/(4x) であり R(x,y)=y24x である。

最後に y2x のとき、頂点は t1 にあり、[0,1] では f(t) は減少する。したがって最大値は 0、最小値は x+y であり R(x,y)=xy である。

以上よりR(x,y)={x+y(y0),(2x+y)24x(xy0),y24x(2xyx),xy(y2x)である。

(2) g(t)=xt2+yt とおく。ある実数 z が存在して 0g(t)+z1(0t1) となるためには、g(t) の最大値と最小値の差が1以下であることが必要十分である。実際、g の最小値を m、最大値を M とすれば、条件は zg(t)1z が全ての t で成り立つことであり、これは区間 [m,M] が長さ1の区間に入ること、すなわち Mm1 と同値である。

したがって Sx>0,R(x,y)1 を満たす点全体である。(1) の場合分けから整理する。 0<x1 では、4つの範囲がつながって x1y1x となる。実際、上側は y0 の場合の x+y1 から y1x、下側は y2x の場合の xy1 から yx1 であり、中間の2区間はこの間を埋める。

一方、1x4 では、直線で決まる上下の部分は消え、中央の2つの場合から 2xy2x2x を得る。これは y24x1 から y2x、および (2x+y)24x1 から 2x+y2x、すなわち y2x2x が出るためである。これらが交わるには x4 が必要である。x>4 では該当する点はない。

したがって S{0<x1,x1y1x,1x4,2xy2x2xで表される領域である。図示すると、0<x1 では2直線 y=1xy=x1 にはさまれ、1x4 では2曲線 y=2x2xy=2x にはさまれる。境界は含むが、x=0 は含まない。

領域 S は次の青色部分である。x=0 上の点は含まず、それ以外の境界は含む。

(3) 0<x1 を固定する。g(t)=xt2+yt の最小値を m、最大値を M とする。このとき、条件 0g(t)+z1 がすべての t で成り立つための z の範囲は mz1M である。したがって許される z の長さは (1M)(m)=1(Mm)=1R(x,y) である。 0<x1 のとき、y の範囲は x1y1x であり、(1) の場合分けに従ってx1y2x,2xyx,xy0,0y1xの4区間に分ける。固定した x における断面積を A(x) とするとA(x)=x12x(1+x+y)dy+2xx(1y24x)dy+x0(1(2x+y)24x)dy+01x(1xy)dyである。

それぞれ計算するとx12x(1+x+y)dy=(1x)22,01x(1xy)dy=(1x)22である。また2xx(1y24x)dy=x7x212であり、u=2x+y とおくとx0(1(2x+y)24x)dy=x2x(1u24x)du=x7x212である。

したがって A(x)=(1x)2+2x7x26=1x26 となる。x=0 の断面は体積に影響しないので、求める体積は01(1x26)dx=[xx318]01=1718である。

別解

解法2(対称変数 v=x+y で体積を求める)

方針

(1) (2) の値域幅を確認した後、(3) では v=x+y とおく。変換 t1t により値域幅は v の符号に関して対称になる。したがって v0 の半分だけを積分すればよく、4区間の積分を2区間へ減らせる。

解答

(1)
f(t)=xt2+yt の最大値と最小値の差を R(x,y) とする。頂点は t=y/(2x)、端点値は 0,x+y だからR(x,y)={x+y(y0),(2x+y)24x(xy0),y24x(2xyx),xy(y2x)である。

(2)
ある z により f(t)+z の値域を [0,1] に収められるための必要十分条件はR(x,y)1である。(1) の各場合を解くと{0<x1,x1y1x,1x4,2xy2x2xとなる。

(3)
0<x1 を固定する。許される z の長さは1R(x,y)である。ここでv=x+yとおくと、y の範囲 x1y1x1v1になる。また t1t と変数を反転すると、値域幅は vv で同じになる。実際、(1) の式からR(x,x+v)={(x+v)24x(vx),v(xv1)である。

したがって、固定した x における yz 断面積は対称性によりA(x)=20x{1(x+v)24x}dv+2x1(1v)dv=2(x7x212)+(1x)2=1x26.よって体積は01(1x26)dx=1718である。

総評

2次関数の値域を平面領域・空間領域に翻訳する総合問題である。目安時間は35分以上。(1) の場合分けが以後の土台で、境界 y=0,x,2x は、頂点の位置と端点値 0,x+y の大小から出る。(2) では「ある z が存在する」を、値域の幅 R(x,y) が1以下であることに言い換えるのが本質である。(3) は固定した (x,y) に対する z の長さが 1R(x,y) になると見れば、体積が断面積の積分に落ちる。計算量が多いので、4つの y 区間を図や表で整理してから積分に入ると、境界の取り違えを防げる。

冊子PDFで見る東大の関数の問題で問題集を作る

出典: 東京大学 2011年度 第2次学力試験 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。