方針
反射で入れ替わるのは座標の符号と順序だけなので,到達可能点はとの8点に限られる。初期点から偶数秒後にいる4点と奇数秒後にいる4点は分かれるため,奇数秒後にへ戻る確率は0である。偶数秒後については,の組との組にまとめ,2秒ごとの遷移表を作る。各組の2点の確率が等しく保たれることを示し,の漸化式から一般項を求める。
解答
(1)
反射によって,座標の絶対値はとのままであり,符号と順序だけが変わる。したがってPがとりうる点は である。
(2)
まず,初期点から1秒後に到達する点は の4点である。これらからさらに1秒動くと の4点に戻る。したがって,奇数秒後にはにもにもいないので,その場合は2つの確率はいずれも0で等しい。
偶数秒後を考える。次の4点を とおく。2秒後の遷移を調べると,またはからは の確率で移る。また,またはからは の確率で移る。したがって,2秒ごとの遷移では,とへ移る確率は常に同じである。
初期から2秒後も,実際に である。よって帰納的に,すべての正の整数について,秒後ににいる確率とにいる確率は等しい。
(3)
奇数秒後にはにいないので,が奇数のとき求める確率は である。
とする。秒後に,との各点にいる確率を,との各点にいる確率をとおく。(2)の2秒遷移表から,に対して である。実際,例えばへ来る確率は,からそれぞれ,からそれぞれであるためとなる。
初期から2秒後には である。上の漸化式を引き算すると であり, だから である。
また,秒後にはのいずれかにいるので すなわち である。したがってである。
求める確率はにいる確率なので,である。
偶数秒だけを取り出した2秒遷移は,2点ずつをまとめると次の状態図になる。
この図から,和 は保存され,差 は2秒ごとに 倍になることが同時に読み取れる。
総評
4種類の鏡映による確率過程を,対称性と2秒遷移へ圧縮する問題。難度6,計算量6,想定時間25分。奇数秒と偶数秒で到達集合が分かれ,偶数秒では と の確率がそれぞれ等しい。和は ,差は2秒ごとに 倍という2本の式にすれば一般項が短く求まる。
【出典確認】 東京大学公式「令和6年度前期日程第2次学力試験・理科数学」PDF第8ページを原寸画像で照合し,4つの鏡映と確率,初期点,3小問を確認した。公式解答・採点講評は公表されていない。
【独立検算】 8点を状態とする遷移行列を有理数で構成し, から12まで厳密計算した。各 で と の確率が一致し, の確率が奇数時0,偶数時 と一致した。