方針
接線の傾きを方向角で管理する。曲線 の における接線の傾きは であり,原点での傾きは である。他の2点では傾きが 以上になるため,3本の直線の方向角を と並べたとき,原点の接線が最小の方向角に対応する。存在範囲はこの方向角の範囲から決める。面積は,原点の接線を基準にして3直線を の形に直し,2点 の符号の違いによって生じる2通りを比較する。
解答
(1)
加法定理より,である。与えられた範囲では であるから,分母 は正であり0にはならない。したがってである。
(2)
曲線 の導関数は である。したがって, における接線は すなわち である。この接線の傾きは である。特に原点 における接線の傾きは である。
条件 より,3本の接線のどの2本もなす小さい方の角が である。直線の方向角を の範囲でとれば,3本の方向角は小さい順に と書ける。ただし3つとも に入る必要があるので である。
原点以外の点での傾きは であり,これは常に 以上である。したがって,最小の傾きに対応するのは原点の接線であり, でなければならない。上の の範囲から であるから,必要条件として を得る。
逆に とする。このとき を満たす をとると, である。そこでとおくと, である。したがって を満たす実数 が存在する。 なので であり,また から である。よって接点 は原点とも互いとも異なる。3本の方向角は上で定めた通りであるから,どの2本の接線もなす角が となり,条件 を満たす。
したがって求める の範囲は である。
(3)
以下, とする。原点の接線の傾きを とおき,またとする。ただし である。さらに とおく。このとき である。
傾き に対応する接点の 座標を とすると, であるから であり, と書ける。同様に,傾き に対応する接点の 座標を とすると と書ける。
原点の接線は である。 における接線は であり, における接線は である。ここで とおくと,面積は変わらず,3直線は となる。ただしである。
直線 と の交点の 座標は であり,直線 と の交点の 座標は である。したがって底辺の長さは である。
また,2本の斜めの直線の交点の 座標はであるから,高さはその絶対値である。よって面積 はすなわち である。 の符号が同じとき であり,符号が異なるとき である。したがって最小値 と最大値 はそれぞれである。
条件 は と同値である。 より分母は正なので, であり, より すなわち を得る。
最後に を で表す。 として,(1)の公式を用いると であるから である。また であるから である。したがって である。条件 より であり,これを解くと だから である。よって である。この値は より大きいので,(2)の存在範囲にも含まれる。
総評
難度8/10、計算量7/10。想定時間は30分。方向角を と並べ、接線の傾きの最小値 を原点の接線に対応させることが存在条件の核心である。面積では というせん断で原点の接線を水平にし、 にまとめると符号選択だけが残る。採点上は必要条件だけで終えず、 から相異なる非零の接点 を構成して十分性を示すこと、接点の正負4通りを尽くして最大・最小を確定することが重要である。典型的な失点は直線のなす角を傾きの差と取り違えること、 の符号を固定して最大値を落とすことである。別解として3直線の交点をすべて座標計算する方法もあるが式が膨らむため、本解のせん断と比 が最も安定する。難問なので、試験では(1)(2)を先に確保し、(3)の面積整理は残り時間と相談するのがよい。