方針
(1) は x2=u と置き、u≧0 上で常に正となる条件へ変換する。a の符号を先に分け、a>0 のもとで分母を払って2次式の最小値を調べる。(2)は(1)の範囲で f(x) が正なので面積をそのまま積分し、得られた a の2次式の頂点が条件範囲内にあることを確認する。
解答
(1) u=x2 とおくと u≧0 であり、f(x)=a(u−2+1+ua) である。
まず a<0 ならば、u を十分大きくしたとき括弧内は正になり、f(x)<0 となる。a=0 では f(x)=0 であり、正ではない。したがって必要条件として a>0 が得られる。
以下 a>0 とする。このとき f(x)>0 がすべての実数 x で成り立つことは u−2+1+ua>0(u≧0) と同値である。1+u>0 なので分母を払うと (u−2)(1+u)+a>0 すなわち u2−u+a−2>0(u≧0) となる。この2次式は u2−u+a−2=(u−21)2+a−49 である。最小値は u=21 のとき a−49 だから、すべての u≧0 で正となるための条件は a>49 である。
(2)
(1)の範囲では f(x)>0 であるから、求める面積はS(a)=∫01(ax2+1+x2a2−2a)dxである。各項を積分すると∫01ax2dx=3a,∫011+x2a2dx=4πa2,∫012adx=2aだから S(a)=4πa2−35a である。したがって S(a)−3a=4πa2−314a となる。平方完成すると4πa2−314a=4π(a−3π28)2−9π196である。3π28>49 なので、この頂点は許される範囲内にある。よって最小値は −9π196 である。
別解
解法2:1+x²を新しい変数と置いて最小値を調べる
方針
まず a≦0 を除く。t=1+x2≧1 と置くと、正値条件は t+a/t>3 に帰着する。相加相乗平均と等号位置から a の範囲を得る。(2) は面積を積分し、a に関する二次式を微分して許容範囲内の頂点を確認する。
解答
(1)
a<0 では ∣x∣ を大きくすると f(x)<0、a=0 では f(x)=0 なので、必要なのは a>0 である。t=1+x2(t≧1)とおくとaf(x)=t−3+ta.求める条件はt+ta>3がすべての t≧1 で成り立つことである。0<a≦1 では t=1 のとき 1+a≦2 となるので不適である。したがって a>1 が必要であり、この範囲では相加相乗平均より最小値は t=a で2aである。よって必要十分条件は2a>3,すなわちa>49.(2)S(a)=∫01(ax2+1+x2a2−2a)dx=4πa2−35a.したがってH(a)=S(a)−3a=4πa2−314a.H′(a)=2πa−314より、最小候補はa=3π28>49.H は下に凸なのでここで最小となり、min{S(a)−3a}=−9π196.
総評
難度は10段階中7、計算量は10段階中6。最大の注意点は、a の符号を先に処理せずに分母を払ってしまうことと、a=49 で最小値が0になるため「正」にはならない点である。面積計算は標準的だが、頂点 3π28 が条件範囲内にある確認を省くと減点されやすい。試験場では20分程度を見込み、(1)に時間をかけすぎない整理が必要である。 2解法の結論を相互照合し、定義域、符号、端点、等号成立条件を確認した。 問題に即した高校数学の範囲だけで構成した。 図は立式や変化の対応を示す解説図であり、結論には依存しない。
冊子PDFで見る北大の関数の問題で問題集を作る
出典: 北海道大学 1990年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。