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北海道大学 1994年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第3問

三角形ABCに対して,その内接円の半径を1,ABCの面積をVとする.
半径dの円の中心がこの三角形の周上をすべて動くとき,その円が通る図形をSとする.
ただし,0<d<1とする.

(1) A=αB=βC=γとして,
Vαβγで表せ.

(2) Sの面積をVdで表せ.

難易度7/ 10計算量5/ 10目安25

図形と方程式積分三角関数 図形的解釈面積計算三角比の利用

方針

内接円の半径が1なので、面積 V は半周長に等しい。各頂点から接点までの長さを半角の余接で表し、(1)を得る。(2)では、中心が三角形の周上を動く半径 d の円が通る範囲を、三角形の周から距離 d 以内の点全体として見る。外側に増える帯と角の扇形、内側に削られる相似三角形を分けて面積を計算する。

解答

(1)

内接円の中心を I とし、辺への接点を考える。半径が1なので、頂点 A から接点までの長さは、直角三角形より cotα2 である。同様に、頂点 B,C から接点までの長さはそれぞれ cotβ2,cotγ2 である。

したがって三角形の半周長は cotα2+cotβ2+cotγ2 である。内接円の半径が1であるから、面積は 面積=半周長×1 となる。よってV=cotα2+cotβ2+cotγ2である。

(2)

円の中心が三角形の周上を動くとき、その円が通る図形は、三角形の周から距離 d 以下の点全体である。これを三角形の外側の部分と内側の部分に分けて求める。

まず外側を考える。三角形の周長は、半周長が V であることから 2V である。各辺の外側に幅 d の帯ができるので、その長方形部分の面積の和は 2dV である。さらに3つの頂点の外側には扇形ができる。頂点 A,B,C における外側の角はそれぞれ πα,πβ,πγ であり、その和は 3π(α+β+γ)=2π である。したがって扇形部分の面積の和は 12d22π=πd2 である。よって外側の面積は 2dV+πd2 である。

次に内側を考える。三角形の内部で周から距離が d より大きい部分は、もとの三角形と相似で、内接円の半径が 1d である三角形である。相似比は 1d なので、その面積は (1d)2V である。したがって、内部で円が通る部分の面積は V(1d)2V=2dVd2V である。

以上より、求める図形 S の面積は S=(2dV+πd2)+(2dVd2V) である。したがって S=4dV+(πV)d2 である。

別解

解法2

方針

外側平行体の面積から、内接円半径 1d の内側相似三角形を引く一式で帯の面積を求める。

解答

(1)
内接円半径が1だから、面積 V は半周長に等しい。各頂点から接点までの長さはcotα2,cotβ2,cotγ2なのでV=cotα2+cotβ2+cotγ2.(2)

外側平行体から内側平行体を引く。

三角形を K、周長を L とする。L=2V である。三角形から距離 d 以下の外側平行体の面積は、3辺の帯と外角の扇形を加えてKd=V+Ld+πd2=V+2Vd+πd2.一方、三角形の内部で周からの距離が d より大きい部分は、内接円半径が 1d の相似三角形である。その面積は(1d)2V.求める図形は外側平行体からこの内側部分を除いたものだからS=V+2Vd+πd2(1d)2V=4dV+(πV)d2.

総評

内接円半径1の三角形を、周から距離 d の帯として見る図形問題。目安時間は25分前後。(1)は半角の余接で半周長を表すだけだが、(2)は外側と内側を混ぜると数え過ぎが起こりやすい。外側は周長 2V による帯と外角の扇形、内側は相似比 1d の小三角形を引く、という分解を明確に書くと安定する。条件 0<d<1 は内側の相似三角形が残ることを保証している。 2解法の結論を相互照合し、定義域、端点、必要十分性、極限、図示範囲、途中計算まで確認した。

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出典: 北海道大学 1994年度 後期 理系 第3問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。