方針
(1) は ex−1−x−x2/2 の増減を微分で調べる。(2)は f(x)/x→1 から f(x) が高々一次程度であることを使い、(1)の不等式から xe−x→0 を示す。(3)は f(x)e−x の微分が被積分関数の符号違いになっていることを見抜き、部分積分ではなく微分形をそのまま積分する。
解答
(1) ϕ(x)=ex−1−x−2x2 とおく。すると ϕ′(x)=ex−1−x,ϕ′′(x)=ex−1 である。x≧0 では ex≧1 なので ϕ′′(x)≧0 である。よって ϕ′(x) は x≧0 で単調増加し、ϕ′(0)=0 から ϕ′(x)≧0 である。さらに ϕ(0)=0 なので、ϕ(x)≧0 となる。したがって ex≧1+x+2x2(x≧0) が示された。
(2)
仮定x→∞limxf(x)=1より、十分大きい x について ∣f(x)∣≦2x としてよい。一方、(1)より ex≧2x2 であるから、x>0 で xe−x≦x2 である。したがって十分大きい x では ∣f(x)e−x∣≦2xe−x≦x4 となる。右辺は x→∞ で 0 に近づくので、x→∞limf(x)e−x=0である。
(3)
積の微分を計算すると {f(x)e−x}′=f′(x)e−x−f(x)e−x={f′(x)−f(x)}e−x である。したがって {f(x)−f′(x)}e−x=−{f(x)e−x}′ であり、∫0t{f(x)−f′(x)}e−xdx=−∫0t{f(x)e−x}′dx=f(0)−f(t)e−t.(2)より f(t)e−t→0 であるから、t→∞lim∫0t{f(x)−f′(x)}e−xdx=f(0)が成り立つ。
別解
解法2
方針
(1) は積分によって ex の下界を一段ずつ強める。(2)では f(x)/x と xe−x に分けて極限を評価し、(3)は部分積分公式をそのまま適用する。
解答
(1)
t≧0 では et≧1 だからet−1=∫0teudu≧t.したがって et≧1+t である。これをもう一度積分するとex−1=∫0xetdt≧∫0x(1+t)dt=x+2x2.よってex≧1+x+2x2.(2)f(x)e−x=xf(x)⋅xe−x.第1因子は 1 に収束する。(1)より ex≧x2/2 なので0≦xe−x≦x2⟶0.したがってx→∞limf(x)e−x=0.(3)
部分積分により∫0tf′(x)e−xdx=[f(x)e−x]0t+∫0tf(x)e−xdx.移項して∫0t{f(x)−f′(x)}e−xdx=f(0)−f(t)e−t.(2)を用いて t→∞ とすれば、極限は f(0) である。
総評
難度は10段階中6、計算量は10段階中4。指数関数の増大が一次関数程度の f(x) を打ち消す、という流れを明確にする問題である。(2)で ∣f(x)∣≦2x と置く部分は極限の定義から来るので、突然の評価に見えないように一言添えるとよい。(3)は fe−x の微分に気づけば短く、符号だけがミスの中心である。想定時間は9分前後。
冊子PDFで見る北大の微分の問題で問題集を作る
出典: 北海道大学 1996年度 後期 理系 第1問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。