方針
(1) は、x>0 を固定して 0≦t<x における f(t) と端点値 f(x) を比較する。問題文の「単調に減少」を狭義の減少として用いれば、f(t)>f(x) が成り立ち、積分して平均値が端点値より大きいことが分かる。(2)は F′(x)=f(x) を使って F(x)/x を微分し、(1)で得た F(x)>xf(x) から導関数が負であることを示す。
解答
(1) x>0 を固定する。0≦t<x では、f(x) は [0,x] の右端の値であり、f は単調に減少するから f(t)>f(x) である。したがって f(t)−f(x)>0(0≦t<x) である。連続性により、この正の差を積分して∫0x{f(t)−f(x)}dt>0を得る。すなわち∫0xf(t)dt−∫0xf(x)dt>0である。f(x) は t に関する定数なので∫0xf(x)dt=xf(x)であり、∫0xf(t)dt>xf(x)となる。x>0 で割ってf(x)<x1∫0xf(t)dtが示された。
(2) F(x)=∫0xf(t)dtであるから、微分積分の基本定理より F′(x)=f(x) である。x>0 で商を微分すると(xF(x))′=x2xF′(x)−F(x)=x2xf(x)−F(x)である。
(1) の結果は F(x)>xf(x) と書ける。したがって xf(x)−F(x)<0 であり、x2>0 だから (xF(x))′<0 である。よって xF(x) は x>0 で単調に減少する ことが示された。
仮定の読み方
原文の不等号は狭義であるため、「単調に減少」は s<t なら f(s)>f(t) という狭義減少として用いる。定数関数まで許す広義単調減少では (1) の等号が成立し、原文の結論と両立しない。
別解
解法2(別観点)
方針
微分を使わず、0<x<y に対する2つの区間の積分平均を比較する。狭義減少性により前半の平均が後半の平均より大きいことから、全体平均の減少を示す。
解答
(1)
x>0 とする。狭義減少性より 0≦t<x で f(t)>f(x) だから∫0xf(t)dt>xf(x).x>0 で割れば、求める不等式を得る。
(2)
0<x<y とする。狭義減少性と連続性から∫0xf(t)dt>xf(x)であり、また x<t≦y では f(t)<f(x) だから∫xyf(t)dt<(y−x)f(x).よって(y−x)∫0xf(t)dt>x∫xyf(t)dt.両辺を整理するとyF(x)>xF(y).xy>0 で割ってxF(x)>yF(y)を得る。したがって F(x)/x は x>0 で狭義単調減少する。
総評
難度5、計算量3。平均値と端点値の比較を積分で表す証明問題で、目安は12分程度である。(1)は式変形よりも不等号の根拠が重要で、0≦t<x で f(t)>f(x) となることを明示したい。なお、ここでは問題文の「単調に減少」を狭義の減少として用いる。広義の単調減少まで許すと定数関数で(1)の strict な不等式が崩れるためである。(2)は商の微分を正確に行い、(1)の F(x)>xf(x) へ接続すればよい。
問題・解答の積分・総和・極限は独立行に置き、分数は表示サイズで可読性を確保した。図は原問題の復元図または答案の論理関係を確認するための独自作図である。
冊子PDFで見る北大の関数の問題で問題集を作る
出典: 北海道大学 2005年度 後期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。