方針
一周期分の絶対値積分を先に求め,u=nx と周期性で問1を出す。問2は nc を周期部分と余りに分け,余りの寄与が消えることを示す。
解答
(問1)
h(u)=∣sinu−sin2u∣ とする。0≦u≦2π で sinu−sin2u=sinu(1−2cosu) の零点は 0,3π,π,35π,2π。符号に注意して積分すると∫02πh(u)du=5.よって u=nx と周期性から∫02π∣sinnx−sin2nx∣dx=n1∫02nπh(u)du=5.(問2)
nc=2πqn+rn,0≦rn<2π とおくと∫0ch(nx)dx=n5qn+n1∫0rnh(u)du.余り部分は 0 に近づき,qn/n→c/(2π)。したがってn→∞lim∫0c∣sinnx−sin2nx∣dx=2π5c.
別解
解法2(和積公式と有界な周期原始関数)
方針
一周期の絶対値積分は和積公式で対称的に計算する。極限では一周期平均を引いた関数の原始関数を作り、その周期性と有界性から誤差が O(1/n) であることを示す。
解答
(問1)
和積公式よりsinu−sin2u=−2sin2ucos23uである。0≦u≦2π では sin(u/2)≧0 なので、v=u/2 と置くと一周期の積分はJ=4∫0πsinv∣cos3v∣dvとなる。cos3v の符号は v=π/6,π/2,5π/6 で切り替わり∫sinvcos3vdv=−81cos4v+41cos2vである。4区間に分けて代入するとJ=4(161+169+169+161)=5を得る。p(u)=∣sinu−sin2u∣ とおけば、p は周期 2π だから∫02πp(nx)dx=n1∫02nπp(u)du=n1⋅nJ=5である。
(問2)
一周期平均はμ=2πJ=2π5である。ここでH(v)=∫0v{p(u)−μ}duとおく。被積分関数は周期 2π で一周期の積分が0なので、H も周期 2π で有界である。したがって∫0cp(nx)dx=n1∫0ncp(u)du=μc+nH(nc)である。H(nc)/n→0 よりn→∞lim∫0c∣sinnx−sin2nx∣dx=2π5cとなる。
総評
難度6,計算量5。想定時間は18分程度。まず一周期の絶対値積分5を、零点と符号を明示して確定する。その後は置換 u=nx により周期平均の問題になる。商と余りで評価する方法と、平均を引いた原始関数の有界性を使う方法のどちらでも、端数周期の寄与が0へ収束する根拠を書くことが必要である。
冊子PDFで見る熊本大学の三角関数の問題で問題集を作る
出典: 熊本大学 2021年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。