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京都大学 1997年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第4問

(1) 0α<βπ2であるとき,次の不等式を示せ.αβsinxdx+πβπαsinxdx>(βα)(sinα+sin(πβ))(2) k=17sinkπ8<16πを示せ.

難易度6/ 10計算量5/ 10目安20

積分三角関数 定積分評価不等式評価、誘導利用

方針

(1) は、sin(πx)=sinxにより左辺を2αβsinxdxへ直し、区間の中点mを中心に対称な2点の正弦和を比較する。x=m+umuを組にすると、sin(m+u)+sin(mu)=2sinmcosuであり、端点より内部の方がcosuが大きいことから厳密な不等式が出る。(2)では幅h=π/8の区間[0,h],[h,2h],[2h,3h],[3h,4h]に(1)を適用し、対称な積分区間が[0,π]全体を覆うことを使って三角和を上から押さえる。

解答

(1)
まず πβπαsinxdx=αβsinxdx である。実際、u=πxと置けばsinx=sinuであり、積分区間が[α,β]に移る。

したがって、示すべき不等式は 2αβsinxdx>(βα)(sinα+sinβ) と同じである。

ここで m=α+β2,d=βα2 とおく。0α<βπ/2より0<dπ/4である。x=m+uとすると 2αβsinxdx=dd{sin(m+u)+sin(mu)}du である。加法定理より sin(m+u)+sin(mu)=2sinmcosu であり、また端点では sinα+sinβ=sin(md)+sin(m+d)=2sinmcosd である。 d<u<dではcosu>cosdであり、m>0なのでsinm>0である。よって sin(m+u)+sin(mu)>sinα+sinβ が区間内部で成り立つ。これをdudで積分して2αβsinxdx>(2d)(sinα+sinβ)=(βα)(sinα+sinβ)を得る。sin(πβ)=sinβなので、これは求める不等式である。

(2) h=π8 とおく。(1)を [α,β]=[(j1)h,jh](j=1,2,3,4) に適用する。4つの不等式の左辺を足すと04hsinxdx+πhπsinxdx+π2hπhsinxdx+π3hπ2hsinxdx+π4hπ3hsinxdxとなる。これは 0πsinxdx=2 に等しい。

一方、右辺を足すとh{sin0+sinh+sinh+sin2h+sin2h+sin3h+sin3h+sin4h}=h{2sinh+2sin2h+2sin3h+sin4h}.ここでh=π/8だから sin5h=sin3h,sin6h=sin2h,sin7h=sinh である。したがって 2sinh+2sin2h+2sin3h+sin4h=k=17sinkh である。

(1) の不等式はすべて厳密なので、足し合わせて 2>hk=17sinkh=π8k=17sinkπ8 を得る。ゆえに k=17sinkπ8<16π である。

別解

解法2

方針

関数 f(x)=sinx0<x<π で狭義に上に凸であることを f(x)<0 から使う。曲線は弦より上にあるので、定積分は台形の面積より大きい。これを区間 [α,β] と対称区間へ適用して(1)を得て、幅 π/8 の4区間について足し合わせる。

解答

(1) f(x)=sinxとするとf(x)=sinx<0(0<x<π).従って正弦曲線はこの区間で狭義に上に凸であり、α<x<β では曲線が両端を結ぶ弦より上にある。よってαβsinxdx>(βα)sinα+sinβ2.sin(πβ)=sinβ であり、対称な2積分は等しいから、両辺を2倍してαβsinxdx+πβπαsinxdx>(βα){sinα+sin(πβ)}.(2)h=π8とし、(1)を[(j1)h,jh](j=1,2,3,4)へ適用して足す。左辺の積分区間は [0,π] を重複なく覆うので0πsinxdx=2.右辺は対称性によりhk=17sin(kh)となる。すべて厳密な不等号だから2>π8k=17sinkπ8.従ってk=17sinkπ8<16π.

総評

積分不等式を三角和の評価に転用する誘導問題である。難度は標準上位、目安時間は20分前後。(1)では単に「sinxは上に凸」と言うだけで済ませず、対称な2点の和を2sinmcosuと表すと厳密な不等号を出しやすい。(2)では4つの区間に適用した左辺が[0,π]をちょうど覆うこと、右辺がk=17sin(kπ/8)にまとまることを丁寧に確認するのが得点の中心である。

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出典: 京都大学 1997年度 前期 理系 第4問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。