Evolton

京都大学 1997年度 後期日程 第2次学力試験文系(後期)数学 第2問

(1) 正整数m,nについてcosm,sinm,cosn,sinnがすべて有理数なら、cos(m+n),sin(m+n)も有理数であることを示せ.
(2) nが60の約数なら、cosn,sinnの少なくとも一方は無理数であることを示せ.

難易度4/ 10計算量2/ 10目安5

三角関数論証・証明 三角比の利用数学的帰納法、背理法

方針

(1) 加法定理を使う。(2) 両方が有理数だと仮定し、(1)を繰り返して角を60度まで整数倍すると矛盾することを示す。

解答

(1)
加法定理よりcos(m+n)=cosmcosnsinmsinn,sin(m+n)=sinmcosn+cosmsinn.右辺は有理数の積と和・差だけでできているので、両者とも有理数である。

(2)
n60だからh=60/nは正整数である。もしcosn,sinnがともに有理数なら、(1)を繰り返し用いることによりcos(hn)=cos60,sin(hn)=sin60もともに有理数となる。しかしsin60=32は無理数である。これは矛盾する。従って少なくとも一方は無理数である。

別解

解法2

方針

倍角・加法を反復したとき、cos(rn),sin(rn)cosn,sinn の整数係数多項式になることを帰納法で示す。この「有理数を代入すれば有理数」という性質を r=60/n に適用し、sin60 の無理性と矛盾させる。

解答

(1) cr=cos(rn),sr=sin(rn)と置く。加法定理からcr+1=crcosnsrsinn,sr+1=srcosn+crsinn.従って cosn,sinn がともに有理数なら、c1,s1 から帰納的にすべての cr,sr が有理数となる。特に m,n のそれぞれの正弦・余弦が有理数なら、通常の加法定理によりcos(m+n),sin(m+n)も有理数である。

(2)
n60 としh=60nと置く。h は正整数である。もし cosn,sinn がともに有理数なら、上の漸化式を h1 回用いてsin(hn)=sin60も有理数となる。しかしsin60=32は無理数である。矛盾するので、cosn,sinn の少なくとも一方は無理数である。

総評

難度4、計算量2。第1問の加法定理を、約数条件によって有限回反復する構成が第2問の核心である。60度の正弦が無理数である一方、余弦は有理数なので「少なくとも一方」という結論と正確に対応する。

冊子PDFで見る京大の三角関数の問題で問題集を作る

出典: 京都大学 1997年度 後期 文系 第2問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。