方針
T=a+d と置き、行列を直接掛けて A2−TA+E=0 を示す。これにより位置ベクトル vn=OPn は vn+2=Tvn+1−vn を満たす。また e=(1,0) は e=Tv1−v2 と書ける。3本の単位ベクトルの関係から、T=0 または T=2v1⋅v2 を得て、内積と長さが保たれることを帰納する。
解答
E を2次の単位行列、T=a+d とする。ad−bc=1 を用いて直接計算するとA2−TA+E=(0000).vn=OPn=An(10) とおけばvn+2=Tvn+1−vn.また、上の行列恒等式に A−1 を掛けると A−1=TE−A である。e=(10) とおけば v1=Ae、v2=A2e なのでe=Tv1−v2.仮定より ∣e∣=∣v1∣=∣v2∣=1 である。この等式の両辺の長さの平方をとると1=T2+1−2T(v1⋅v2),したがってT{T−2(v1⋅v2)}=0.まず T=0 のとき、この漸化式は vn+2=−vn となるから、∣v1∣=∣v2∣=1 より全ての n で ∣vn∣=1 である。
次に T=0 とする。c0=v1⋅v2 とおけば、上の等式より T=2c0 である。ある n について∣vn∣=∣vn+1∣=1,vn⋅vn+1=c0が成り立つと仮定する。漸化式より∣vn+2∣2=∣Tvn+1−vn∣2=T2+1−2Tc0=1,またvn+1⋅vn+2=T−c0=c0.したがってこの性質は n+1 でも成り立つ。n=1 では仮定により成立しているから、数学的帰納法により全ての自然数 n について∣OPn∣=∣vn∣=1である。
別解
解法2
方針
第1列から (x1,y1)=(a,c) と読み、長さ条件で a2+c2=1 を得る。次に P2 の成分を ad−bc=1 で整理すると、2本目の長さ条件は (a+d)(d−a)=0 と同値になる。d=a では回転型、d=−a では A2=−E 型に分け、各場合で軌道の長さが保存されることを直接示す。
解答
第1列を読むと(x1y1)=A(10)=(ac)である。したがって a2+c2=1 である。また(x2y2)=A(ac)=(a2+bcac+cd).ad−bc=1 よりx2=a(a+d)−1,y2=c(a+d).これと x22+y22=1、a2+c2=1 を用いると{a(a+d)−1}2+c2(a+d)2=1,すなわち(a+d)(d−a)=0.d=a の場合、a2−bc=1 と a2+c2=1 から c(b+c)=0 である。
c=0 なら b=−c なのでA=(ac−ca),a2+c2=1.この行列は任意のベクトルの長さを保つ。c=0 なら a=±1 であり、An(1,0)T=((±1)n,0)T だから、やはり長さは1である。
d=−a の場合、−a2−bc=1 よりA2=(acb−a)2=−E.したがって OPn+2=−OPn であり、
OP1、OP2 の長さが1なら、すべての項の長さが1である。
以上より、すべての自然数 n に対して∣OPn∣=1が成り立つ。
総評
難度8、計算量6。想定時間は28分程度。固有値などを使わず、2次行列を直接計算して得る A2−(a+d)A+E=0 が出発点である。そこからベクトル列の2項間漸化式と、初期ベクトル (1,0) を v1,v2 で表す式の2本を作る。T=0 を分けた後、T=2(v1⋅v2) により「長さ1」と「隣接内積一定」を同時に帰納するのが採点の中心で、長さだけを帰納しようとすると式が閉じない。
冊子PDFで見る京大の行列の問題で問題集を作る
出典: 京都大学 2009年度 前期 数学(理系(乙))(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。