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京都大学 2009年度 前期日程 第2次学力試験(数学理系乙)理系(乙)数学 第4問

A=(abcd)adbc=1 をみたす行列とする.ただし,a,b,c,d は実数である.
自然数 n に対して平面上の点 Pn(xn,yn)(xnyn)=An(10)により定める.

OP1OP2 の長さが 1 のとき,
すべての n に対して OPn の長さが 1 であることを示せ.
ここで O は原点である.

難易度8/ 10計算量6/ 10目安28

行列数列論証・証明 恒等式比較漸化式の変形数学的帰納法内積の利用

方針

T=a+d と置き、行列を直接掛けて A2TA+E=0 を示す。これにより位置ベクトル vn=OPnvn+2=Tvn+1vn を満たす。また e=(1,0)e=Tv1v2 と書ける。3本の単位ベクトルの関係から、T=0 または T=2v1v2 を得て、内積と長さが保たれることを帰納する。

解答

E を2次の単位行列、T=a+d とする。adbc=1 を用いて直接計算するとA2TA+E=(0000).vn=OPn=An(10) とおけばvn+2=Tvn+1vn.また、上の行列恒等式に A1 を掛けると A1=TEA である。e=(10) とおけば v1=Aev2=A2e なのでe=Tv1v2.仮定より e=v1=v2=1 である。この等式の両辺の長さの平方をとると1=T2+12T(v1v2),したがってT{T2(v1v2)}=0.まず T=0 のとき、この漸化式は vn+2=vn となるから、v1=v2=1 より全ての nvn=1 である。

次に T0 とする。c0=v1v2 とおけば、上の等式より T=2c0 である。ある n についてvn=vn+1=1,vnvn+1=c0が成り立つと仮定する。漸化式よりvn+22=Tvn+1vn2=T2+12Tc0=1,またvn+1vn+2=Tc0=c0.したがってこの性質は n+1 でも成り立つ。n=1 では仮定により成立しているから、数学的帰納法により全ての自然数 n についてOPn=vn=1である。

別解

解法2

方針

第1列から (x1,y1)=(a,c) と読み、長さ条件で a2+c2=1 を得る。次に P2 の成分を adbc=1 で整理すると、2本目の長さ条件は (a+d)(da)=0 と同値になる。d=a では回転型、d=a では A2=E 型に分け、各場合で軌道の長さが保存されることを直接示す。

解答

第1列を読むと(x1y1)=A(10)=(ac)である。したがって a2+c2=1 である。また(x2y2)=A(ac)=(a2+bcac+cd).adbc=1 よりx2=a(a+d)1,y2=c(a+d).これと x22+y22=1a2+c2=1 を用いると{a(a+d)1}2+c2(a+d)2=1,すなわち(a+d)(da)=0.d=a の場合、a2bc=1a2+c2=1 から c(b+c)=0 である。
c0 なら b=c なのでA=(acca),a2+c2=1.この行列は任意のベクトルの長さを保つ。c=0 なら a=±1 であり、An(1,0)T=((±1)n,0)T だから、やはり長さは1である。

d=a の場合、a2bc=1 よりA2=(abca) ⁣2=E.したがって OPn+2=OPn であり、
OP1OP2 の長さが1なら、すべての項の長さが1である。

以上より、すべての自然数 n に対してOPn=1が成り立つ。

総評

難度8、計算量6。想定時間は28分程度。固有値などを使わず、2次行列を直接計算して得る A2(a+d)A+E=0 が出発点である。そこからベクトル列の2項間漸化式と、初期ベクトル (1,0)v1,v2 で表す式の2本を作る。T=0 を分けた後、T=2(v1v2) により「長さ1」と「隣接内積一定」を同時に帰納するのが採点の中心で、長さだけを帰納しようとすると式が閉じない。

冊子PDFで見る京大の行列の問題で問題集を作る

出典: 京都大学 2009年度 前期 数学(理系(乙))(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。