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九州大学 1994年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第4問

mnを正の整数とし,abcを実数とするとき,次の問に答えよ.

(1)
 次の定積分の値を求めよ.

(ア) 0πsinmxsinnxdx(イ) 0πxsinmxdx(2) I=0π(asinx+bsin2x+csin3xx)2dxとおく.
Iを最小にするようなabcの値とIの最小値を求めよ.

難易度7/ 10計算量7/ 10目安30

積分三角関数 定積分評価、微積分の対称性、計算整理

方針

(1) では積和公式と部分積分により、sinmx 同士の直交関係と xsinmx の積分値を求める。(2)では I を展開し、(1)の結果で交差項が消えることを使って、a,b,c についての平方完成にする。最小にする係数は xsinx,sin2x,sin3x の組で近似する係数に一致し、最小値は 0πx2dx から対応する3成分の寄与を引いて求める。

解答

(1)

(ア)

積和公式より sinmxsinnx=12{cos(mn)xcos(m+n)x} である。 mn のとき、mnm+n はともに正の整数または負でない整数で、mn0 であるから 0πcos(mn)xdx=0,0πcos(m+n)xdx=0 となる。したがって 0πsinmxsinnxdx=0 である。 m=n のときは sin2mx=1cos2mx2 より0πsin2mxdx=120π1dx120πcos2mxdx=π2.よって0πsinmxsinnxdx={π2,m=n,0,mnである。

(イ)

部分積分により0πxsinmxdx=[xcosmxm]0π+1m0πcosmxdx.第2項は 1m[sinmxm]0π=0 である。したがって0πxsinmxdx=πcosmπm=(1)m+1πm.(2) I=0π(asinx+bsin2x+csin3xx)2dx を展開する。(1)より異なる sinmx 同士の積分は0であり、また 0πsin2mxdx=π2 である。さらに0πxsinxdx=π,0πxsin2xdx=π2,0πxsin3xdx=π3である。

したがってI=π2(a2+b2+c2)2(aπ+b(π2)+cπ3)+0πx2dx.また 0πx2dx=π33 であるからI=π2a22πa+π2b2+πb+π2c22π3c+π33.これを平方完成すると π2a22πa=π2(a2)22π, π2b2+πb=π2(b+1)2π2, π2c22π3c=π2(c23)22π9.よってI=π2(a2)2+π2(b+1)2+π2(c23)2+π332ππ22π9.したがって I を最小にするのは a=2,b=1,c=23 のときである。

最小値はπ332ππ22π9=π3349π18=π(6π249)18である。

別解

解法2

方針

関数の内積 f,g=0πfgdx を用いる。三つの正弦関数が互いに直交することを確認し、最小条件を残差が各正弦関数に直交する条件として求める。最小値は平方ノルムから射影成分を引く。

解答

(1)
内積をf,g=0πf(x)g(x)dxと定める。積和公式からsinmx,sinnx={π2,m=n,0,mnである。また、部分積分によりx,sinmx=[xcosmxm]0π+1m0πcosmxdx=(1)m+1πm.(2)R(x)=xasinxbsin2xcsin3xとおけば I=R,R である。I が最小になるとき、残差 R は三つの基底関数に直交する。したがってR,sinx=R,sin2x=R,sin3x=0.(1)の直交関係を使うとπ2a=π,π2b=π2,π2c=π3.よってa=2,b=1,c=23.最小値は、x の平方ノルムから三つの直交射影の平方ノルムを引けばよい。Imin=0πx2dxπ2π/2(π/2)2π/2(π/3)2π/2=π332ππ22π9=π(6π249)18.

総評

三角関数の直交性により、平方完成と直交射影という二つの見方ができる。部分積分の符号 (1)m+1 を丁寧に扱い、最小値では係数だけでなく、射影後に残る平方ノルムまで求める。第二解法の内積表現は計算の構造を明確にする補助的な見方である。

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出典: 九州大学 1994年度 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。