方針
多項式 F(x) が x−b で割り切れる条件を、余りの定理で F(b)=0 と言い換える。a=b の十分性を示した後、a=b なら P(t)=(t−a)3 を選ぶと積分値が0にならないことから必要性を示す。
解答
余りの定理より、F(x) が x−b で割り切れることはF(b)=0と同値である。また定義からF(b)=∫abP(t)dt.(1)まず a=b とする。どの3次式 P に対してもF(b)=∫bbP(t)dt=0だから、F(x) は x−b で割り切れる。これで十分性が示された。
次に、どの3次式 P に対しても F(x) が x−b で割り切れると仮定する。もし a=b なら、3次式P(t)=(t−a)3を選べる。このときF(b)=∫ab(t−a)3dt=[4(t−a)4]ab=4(b−a)4>0.これは (1) が0でなければならないことに反する。したがって a=b である。
以上より、必要十分条件はa=bである。
別解
解法2:2つの3次式に対する条件を引き算する
方針
「どの3次式に対しても」という条件を、具体的な2つの3次式 t3 と t3+1 に適用する。両方の積分値が0なので、その差である定数1の積分も0となり、直ちに a=b が得られる。
解答
F(x) が x−b で割り切れるための条件は∫abP(t)dt=0.(1)a=b なら積分区間の両端が同じなので、(1) はすべての3次式 P に対して成り立つ。したがって十分である。
逆に、(1) がすべての3次式に対して成り立つとする。特にP0(t)=t3,P1(t)=t3+1はいずれも3次式だから∫abt3dt=0,∫ab(t3+1)dt=0.後の式から前の式を引くと∫ab1dt=b−a=0.よってa=b.これで必要性も示された。
総評
難度は10段階中4、計算量は10段階中2。余りの定理で「割り切れる」を1点での値へ変換し、「どの3次式でも」という全称条件を具体的な式の選択に利用する証明問題である。3次以下ではなく次数がちょうど3という読みでも成立する式を選ぶことが大切である。積分はすべて独立した表示式にし、十分性と必要性を分けて書けば明快になる。目安時間は10分。
冊子PDFで見る名大の積分の問題で問題集を作る
出典: 名古屋大学 1989年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。