Evolton

名古屋大学 2015年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第3問

eを自然対数の底とし,tt>eとなる実数とする。
このとき,曲線C:y=exと直線y=txは相異なる2点で交わるので,
交点のうちx座標が小さいものをP,大きいものをQとし,
PQx座標をそれぞれαβ (α<β)とする。
また,PにおけるCの接線とQにおけるCの接線との交点をRとし,

曲線Cx軸および2つの直線x=αx=βで囲まれる部分の面積をS1

曲線Cおよび2つの直線PRQRで囲まれる部分の面積をS2

とする。このとき,次の問に答えよ。

(1) S2S1αβを用いて表せ。

(2) α<etβ<2logtとなることを示し,
limtS2S1を求めよ。
必要ならば,x>0のときex>x2であることを証明なしに用いてよい。

難易度7/ 10計算量6/ 10目安25

指数・対数積分微分 接線・法線面積計算極限計算、はさみうち

方針

交点条件は eα=tαeβ=tβ である。接線の式をそれぞれ書き、2接線の交点 Rx 座標が α+β1 になることを先に求める。S1ex の積分で直ちに t(βα) となる。S2 は接線が曲線の下にあることを使い、α から Rx 座標までと、そこから β までの2つに分けて積分する。最後は h(x)=extx の符号と評価で αβ0 を示す。

解答

(1)

交点条件より eα=tα,eβ=tβ である。曲線 C:y=exx=c における接線は y=ec(xc)+ec=ec(xc+1) である。したがって、P,Q における接線はそれぞれ y=tα(xα+1),y=tβ(xβ+1) である。

2接線の交点 Rx 座標を r とする。すると α(rα+1)=β(rβ+1) である。整理すると(αβ)r=α(α1)β(β1)=(αβ)(α+β1)であり、αβ だから r=α+β1 である。ここで 0<α<1<β なので α<r<β である。

まずS1=αβexdx=eβeα=tβtα=t(βα)である。

次に S2 を求める。指数関数のグラフは接線より上にあるのでS2=αr{extα(xα+1)}dx+rβ{extβ(xβ+1)}dxである。ここで第1項を計算する。rα=β1 よりαr{extα(xα+1)}dx=ereαtα{(rα)22+(rα)}=ertαtα{(β1)22+β1}=ertαtαβ212である。第2項については βr=1α であり rβ(xβ+1)dx=1α22 だからrβ{extβ(xβ+1)}dx=eβertβ1α22=tβertβ1α22である。両者を足すと er が消えてS2=t(βα)t2{α(β21)+β(1α2)}=t(βα)t2{αβ2α+βα2β}=t2{2(βα)αβ(βα)(βα)}=t(βα)(1αβ)2である。したがって S2S1=1αβ2 である。

(2) h(x)=extx とおく。t>e より h(0)=1>0,h(1)=et<0 であるから、小さい方の解 α0<α<1 を満たす。交点条件 eα=tα より α=eαt であり、α<1 だから eα<e である。よって α<et である。

次に β を評価する。t>e なので 2logt>2 であり、特に 2logt>1>α である。また h(2logt)=e2logt2tlogt=t22tlogt=t(t2logt) である。ϕ(t)=t2logt とおくと、t>e>2ϕ(t)=12t>0 であり、ϕ(e)=e2>0 だから t2logt>0 である。したがって h(2logt)>0 である。

関数 h(x)=extx は下に凸で、問題文の通り正の範囲で2つの交点をもつ。h(x) は2つの根の間で負、外側で正である。いま 2logt>α かつ h(2logt)>0 なので、2logt は大きい方の根 β より右側にある。よって β<2logt である。

以上より 0<αβ<et2logt=2elogtt である。t のとき logtt0 だから αβ0 である。(1)より S2S1=1αβ2 なので limtS2S1=12 である。

総評

難度7、計算量6。目安時間は25分。接線2本と指数曲線で囲まれる面積を、交点 R の位置で左右に分けて積分するのが中心である。S2 の途中で er が消えるため、交点条件 eα=tαeβ=tβ を使い切ると比が一気に簡単になる。(2)は αβ0 を示す問題であり、α<e/tβ<2logt の役割を見失わないことが重要である。

冊子PDFで見る名大の指数・対数の問題で問題集を作る

出典: 名古屋大学 2015年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。