方針
(1) は et=1+int0texdx を用い、帰納法の仮定を積分して次数を1つ上げる。(2)は I0 を直接求め、m≧1 では部分積分で Im=mIm−1 を導く。端の項 tme−t→0 は(1)の不等式から従う。
解答
(1) n=1 のとき、t≧0 で et=1+∫0texdx≧∫0t1dx=t である。したがって et≧1!t が成り立つ。
次に、ある正の整数 n−1 について ex≧(n−1)!xn−1(x≧0) が成り立つと仮定する。このとき t≧0 でet=1+∫0texdx≧∫0texdx≧∫0t(n−1)!xn−1dx=n!tn.よって数学的帰納法により、すべての正の整数 n について et≧n!tn(t≧0) が成り立つ。
(2)
まず I0=t→∞lim∫0te−xdx=t→∞lim(1−e−t)=1 である。 m≧1 とする。部分積分により∫0txme−xdx=[−xme−x]0t+m∫0txm−1e−xdx=−tme−t+m∫0txm−1e−xdx.ここで(1)を n=m+1 に対して用いると et≧(m+1)!tm+1 だから 0≦tme−t≦t(m+1)!→0 である。したがって極限を取ると Im=mIm−1 を得る。 I0=1 から順に Im=m(m−1)⋯1I0=m! である。よって Im=m!(m=0,1,2,…) である。
別解
解法2(有限展開を帰納する)
方針
(1) ではより強い有限和評価を積分帰納法で示す。
(2)は部分積分を繰り返した有限公式を帰納的に得て、
指数関数が多項式より速く増えることを(1)で保証する。
解答
(1)
次のより強い不等式を示す。et≧k=0∑nk!tk(t≧0).n=0 では et≧1 である。n−1 まで成立するときet=1+∫0texdx≧1+∫0tk=0∑n−1k!xkdx=k=0∑nk!tk.よって帰納法により成立し、特にet≧n!tn.(2)
部分積分を繰り返すと∫0txme−xdx=m!−e−tk=0∑mk!m!tk.この式は m=0 で直接成り立ち、1回の部分積分で
m−1 から m へ移るので帰納的に確認できる。
(1) を各 k≦m に対して十分大きい指数で用いればtke−t⟶0.したがって t→∞ としてIm=m!(m=0,1,2,…).
総評
難度6、計算量5。(1)は展開公式を使わず、積分と帰納法で示す指定がある点に注意する。(2)の部分積分自体は標準的だが、端の項 tme−t が0へ行く根拠として(1)を使うのが問題の流れである。I0=1 から漸化式 Im=mIm−1 を作れば結論は階乗になる。目安は18分程度。 2つの解法は標準的な答案手順と、構造を使って検算できる別経路に分けた。等号条件、範囲、必要性と十分性を明示し、積分・総和・極限および主要な分数は読みやすい表示形式に統一した。
冊子PDFで見る東北大の積分の問題で問題集を作る
出典: 東北大学 2001年度 前期 数学 第6問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。