Evolton

東北大学 2006年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第4問

aは正の定数とし,1<x<1において定義される関数f(x)=ax(1+x)log(1+x)(1x)log(1x)に関して以下の問に答えよ.
ただし,対数は自然対数とする.

(1) 1<x<1において第2次導関数f(x)f(0)<0であることを示せ.

(2) 1<x<1においてf(x)の最大値を与えるxの値x0aを用いて表せ.

(3) a=1の場合,0<x1<1であってf(x1)=0となるx1が存在することを示せ.
なお,必要ならばlimt+0tlogt=0は既知としてよい.

(4) a=1の場合の,1<x<1におけるグラフy=f(x)の概形をかけ.

難易度7/ 10計算量6/ 10目安30

微分指数・対数関数 グラフの概形微分による最大最小、範囲評価

方針

まず f(x)f(x) を正確に計算し,f(x)<0 からグラフが上に凸で最大点が一意であることを使う。最大点は f(x)=0 を解けばよい。a=1 では f(0)=0f(0)>0,右端の極限が負であることを用いて,正の零点の存在とグラフの増減を整理する。12log2<0 は積分比較で確認する。

解答

(1) f(x)=ax(1+x)log(1+x)(1x)log(1x) を微分する。まず ddx{(1+x)log(1+x)}=log(1+x)+1 であり,また ddx{(1x)log(1x)}=log(1x)1 である。したがってf(x)=a{log(1+x)+1}{log(1x)1}=a+log1x1+xである。

さらに f(x)=11x11+x=21x2 である。1<x<1 では 1x2>0 だから f(x)<0 であり,特に f(0)=2<0 である。

(2)

(1) より 1<x<1 で常に f(x)<0 である。したがって f(x) は単調減少し,f(x) の最大点は f(x)=0 を満たす点で一意に決まる。 f(x)=0a+log1x1+x=0 である。よって log1x1+x=a であり,1x1+x=ea となる。これを解くと 1x=ea(1+x) より 1ea=x(1+ea) である。したがって x0=1ea1+ea=ea1ea+1 である。

(3)

以下では a=1 とする。このとき f(0)=0 であり,f(0)=1+log1=1>0 である。したがって 0 のすぐ右側では f(x)>0 となる。

一方,x10 とすると,(1x)log(1x)0 を用いて 次が成り立つ。limx10f(x)=12log2ここでlog2=12dtt>12dt2=12だから 12log2<0 である。よって x が1に十分近いところでは f(x)<0 となる。 f(0,1) で連続であり,0の右側で正,1の近くで負になる。したがって中間値の定理により,ある 0<x1<1 が存在して f(x1)=0 となる。

(4) a=1 のとき,(2)より最大点は x0=e1e+1 である。また f(x)<0 なのでグラフは全体に上に凸であり,f(x) は単調減少する。したがって 1<x<x0 で増加し,x0<x<1 で減少する。

端での極限はlimx1+0f(x)=12log2,limx10f(x)=12log2である。どちらも負である。さらに f(0)=0,f(0)=1>0 なので,グラフは原点を正の傾きで通り,x0 で最大値をとった後,(3)の x1 で再び x 軸と交わり,右端では負の値 12log2 に近づく。

以上をまとめると,概形は「左端で 12log2 に近づきながら増加し,原点を通過し,x0=(e1)/(e+1) で最大となり,その後減少して x1(0,1)x 軸を横切り,右端で 12log2 に近づく上に凸な曲線」である。

全区間で上に凸なので、導関数の零点が唯一の最大点となり、グラフの交点順も確定する。

総評

難度7,計算量6。目安時間は30分。対数微分の符号処理と端の極限が中心である。f(x)<0 から上に凸・最大点一意・増減の流れまで一貫して使えると,(2)から(4)がつながる。12log2<0 を数値で済ませず,log2>1/2 を積分比較で示すと答案として堅い。 問題文の(1)は f(0)<0 だけでなく全区間の符号を計算すると、以後の最大・概形まで一度に処理できる。

冊子PDFで見る東北大の微分の問題で問題集を作る

出典: 東北大学 2006年度 後期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。