方針
まず上端を固定して,gn(c)だけの漸化式を作る。定義よりgn(c)=g(c)+cgn−1(c)となるので,0<c<1からlimn→∞gn(c)=g(c)/(1−c)を得る。
これを条件式に代入し,x(1−x)f(x)=g(x)へ変形する。さらにg′(x)=f(x)を使い,x(1−x)g′(x)=g(x)を解く。割り算でg(x)の符号を仮定しなくてすむよう,(1−x)g(x)/xが一定であることを直接微分して示す。最後にf(0)=1から定数を決め,代入確認も行う。
解答
0<c<1を固定する。定義からgn(c)=∫0cfn(t)dt=∫0c{f(t)+∫0cfn−1(u)du}dtである。内側の積分はtによらない定数なのでgn(c)=g(c)+c∫0cfn−1(u)du=g(c)+cgn−1(c)となる。
したがって gn(c)=g(c)(1+c+⋯+cn−1) であり,0<c<1より n→∞limgn(c)=1−cg(c) である。
問題の条件にc=xとしてこの極限を代入すると,0<x<1で xf(x)=g(x)+x1−xg(x)=1−xg(x) である。よって x(1−x)f(x)=g(x) を得る。
ここでg(x)=∫0xf(t)dtだからg′(x)=f(x)である。したがって x(1−x)g′(x)=g(x)(0<x<1) である。 0<x<1で H(x)=x1−xg(x) とおく。上の式を用いて微分するとH′(x)=x1−xg′(x)−x21g(x)=x1−x⋅x(1−x)g(x)−x2g(x)=0である。よってH(x)は定数であり,ある定数Cを用いて x1−xg(x)=C と書ける。すなわち g(x)=1−xCx である。
したがって f(x)=g′(x)=(1−x)2C である。f(0)=1よりC=1だから f(x)=(1−x)21(0≦x<1) である。
最後に確認する。このfに対してg(x)=∫0x(1−t)21dt=1−xxであるから,n→∞limgn(x)=1−xg(x)=(1−x)2x である。するとg(x)+xn→∞limgn(x)=1−xx+(1−x)2x2=(1−x)2x=xf(x)となり,確かに条件を満たす。
別解
解法2
方針
極限から得られる積分方程式を微分し、(1−x)2f(x) の導関数が0になることを直接示す。対数積分や f での割り算を避ける。
解答
まず固定した c についてgn(c)=g(c)+cgn−1(c)である。これを繰り返すとgn(c)=g(c)(1+c+⋯+cn−1),したがってn→∞limgn(c)=1−cg(c).条件式に c=x を代入すればxf(x)=1−xg(x),すなわちg(x)=x(1−x)f(x).左辺は微分可能なので、0<x<1 で右辺も微分できる。g′(x)=f(x) を
用いて微分するとf(x)=(1−2x)f(x)+x(1−x)f′(x).よって(1−x)f′(x)=2f(x).ここでdxd{(1−x)2f(x)}=(1−x){(1−x)f′(x)−2f(x)}=0.したがって (1−x)2f(x)=C である。f は x=0 で連続し、
f(0)=1 だから C=1 となる。ゆえにf(x)=(1−x)21(0≦x<1).この関数では g(x)=x/(1−x) となり、元の条件への代入でも等式が成立する。
総評
難度は8、計算量は6。極限を取る変数と積分上端を区別し、得られた関数を元の式へ代入確認した。 2解法の結論を照合し、定義域、端点、必要十分性、等号条件を再確認した。 図は論証を補助するものに限定し、図の縮尺に依存しない式による説明も併記している。
冊子PDFで見る東大の積分の問題で問題集を作る
出典: 東京大学 1994年度 前期日程 第2次学力試験 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。