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東京大学 1999年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第1問

(1) 一般角θに対してsinθcosθの定義を述べよ。

(2) (1)で述べた定義にもとづき,一般角αβに対してsin(α+β)=sinαcosβ+cosαsinβ,cos(α+β)=cosαcosβsinαsinβを証明せよ。

難易度4/ 10計算量4/ 10目安15

三角関数図形と方程式論証・証明 図形的解釈回転・拡大、実部虚部比較

方針

一般角を単位円上の点の座標で定義する。角 α の方向を向く単位ベクトルと、それを反時計回りに 90 回した単位ベクトルを基底に取り、そこから β だけ回した方向を成分表示する。最後に標準座標の2成分を比較する。

解答

(1)
座標平面に、原点 O を中心とする半径1の円をとる。正の x 軸を始線とし、反時計回りを正の向き、時計回りを負の向きとする。

一般角 θ について、正の x 軸から角 θ だけ回転した半直線と単位円との交点を P とする。この点 P の座標を P=(X,Y) とするとき cosθ=X,sinθ=Y と定義する。すなわち、一般角 θ の余弦は単位円上の対応する点の x 座標、正弦は y 座標である。この定義では、θ が負の角や 360 をこえる角であっても、対応する半直線と単位円の交点が一意に定まるので、sinθcosθ が定義される。

(2)
α に対応する単位円上の点の位置ベクトルを u=(cosα,sinα) とする。これは角 α の方向を向く長さ1のベクトルである。また、u を反時計回りに 90 回転したベクトルを v=(sinα,cosα) とおく。v も長さ1で、u と垂直である。

α の方向を新しい基準方向と見たとき、そこからさらに角 β だけ回した方向の単位ベクトルは、(1)の定義により cosβu+sinβv で表される。この方向は、もとの座標平面では角 α+β の方向である。したがって(cos(α+β),sin(α+β))=cosβ(cosα,sinα)+sinβ(sinα,cosα)である。

右辺を成分ごとに計算するとcosβ(cosα,sinα)+sinβ(sinα,cosα)=(cosαcosβsinαsinβ,sinαcosβ+cosαsinβ)である。よって成分を比較して cos(α+β)=cosαcosβsinαsinβ, sin(α+β)=sinαcosβ+cosαsinβ を得る。これは一般角 α,β に対して成り立つ。

別解

解法2

方針

複素数平面上で、cosα+isinα を掛ける写像が長さを保ち、正の x 軸を角 α の方向へ移す回転であることを座標計算から確かめる。その写像を角 β の単位ベクトルへ作用させ、実部と虚部を読む。

解答

(1)
原点 O を中心とする単位円を取り、正の x 軸を始線、反時計回りを正とする。角 θ の動径と単位円との交点を P=(X,Y) とするときcosθ=X,sinθ=Yと定める。

(2)
複素数 w=cosα+isinα を考える。任意の z=x+yi に対しwz=(xcosαysinα)+i(xsinα+ycosα)である。この写像はwz2=(xcosαysinα)2+(xsinα+ycosα)2=x2+y2=z2より長さを保つ。また 1w へ移し、行列式に相当する向きも正なので、平面を反時計回りに角 α だけ回す写像である。

ここで z=cosβ+isinβ とすれば、wz は角 α+β の単位ベクトルを表す。一方、wz=(cosα+isinα)(cosβ+isinβ)=(cosαcosβsinαsinβ)+i(sinαcosβ+cosαsinβ)である。単位円上の点の実部・虚部を比較してcos(α+β)=cosαcosβsinαsinβ,sin(α+β)=sinαcosβ+cosαsinβを得る。

総評

定義から公式を再構成する論証問題である。正の回転方向、単位円との交点、座標という定義を最初に明記することが核心になる。回転後の2成分を同時に比較すれば、正弦と余弦の符号を取り違えにくい。複素数解法でも、積の偏角を既知公式として使うと循環論法になるため、掛け算が回転であることを座標から確認した。

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出典: 東京大学 1999年度 前期 共通 文科第1問・理科第1問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。