Evolton

東京大学 2000年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第3問

a>0とする。
正の整数nに対して,区間0xan等分する点の集合{0,an,,n1na,a}の上で定義された関数fn(x)があり,次の方程式を満たす。{fn(0)=c,fn((k+1)h)fn(kh)h={1fn(kh)}fn((k+1)h)(k=0,1,,n1)ただし,h=anc>0である。
このとき,以下の問いに答えよ。

(1) pk=1fn(kh) (k=0,1,,n)とおいてpkを求めよ。

(2) g(a)=limnfn(a)とおく。g(a)を求めよ。

(3) c=2,1,14それぞれの場合について,y=g(x)x>0でのグラフをかけ。

難易度6/ 10計算量5/ 10目安20

数列関数指数・対数微分 漸化式の変形極限計算グラフの概形、計算整理

方針

差分方程式は fn((k+1)h)fn(kh) が積で現れるため、逆数 pk=1/fn(kh) を導入すると一次漸化式になる。具体的には pk+11=(1h)(pk1) で、等比数列として pk を求める。k=nh=a/n として (1a/n)n の極限を取り、最後は c の値ごとに初期値・単調性・漸近線 y=1 を整理してグラフの形を決める。

解答

(1)
記号を簡単にするため fk=fn(kh) と書く。与えられた式は fk+1fkh=(1fk)fk+1 であるから fk+1fk=h(1fk)fk+1 である。両辺を fkfk+1 で割ると 1fk1fk+1=h(1fk1) となる。 pk=1/fk とおくと pkpk+1=h(pk1) であり、したがって pk+1=(1h)pk+h である。両辺から 1 を引けば pk+11=(1h)(pk1) となる。p0=1/c だから pk1=(1c1)(1h)k であり、pk=1+(1c1)(1h)k である。

(2) a に対応する点は k=n であり、h=a/n である。(1)より fn(a)=11+(1c1)(1an)n である。ここで limn(1an)n=ea なので g(a)=11+(1c1)ea である。分母分子に cea を掛けると g(a)=ceacea+1c である。

(3) x>0 に対して g(x)=cexcex+1c である。また微分すると g(x)=cex(1c)(cex+1c)2 である。 c=2 のとき g(x)=2ex2ex1 であり、g(x)<0 だから単調減少である。x=0 まで延長すれば g(0)=2 であり、xg(x)1 となる。したがって x>0 では 1 より大きい側から 1 に近づく曲線である。 c=1 のとき g(x)=1 であり、グラフは水平直線 y=1 である。 c=14 のとき g(x)=exex+3 であり、g(x)>0 だから単調増加である。x=0 まで延長すれば g(0)=1/4 であり、xg(x)1 となる。したがって x>0 では 1 より小さい側から 1 に近づく曲線である。

以上を図示すれば、c=2 は上から y=1 に近づく減少曲線、c=1y=1c=1/4 は下から y=1 に近づく増加曲線である。

別解

解法2(閉じた形を帰納的に検算する)

方針

差分方程式を fk+1 について解き、得られる分数変換を反復する。閉じた式を数学的帰納法で直接確認し、極限後は g=g(1g) を使って3本のグラフの増減と曲がり方まで決める。

解答

(1)
fk=fn(kh) と略記する。与式を fk+1 について解くとfk+1=fk1h+hfk.ここからfk=cc+(1c)(1h)kと予想できる。k=0 では明らかに成り立つ。これを上の漸化式へ代入するとfk+1=cc+(1c)(1h)k+1となるので、帰納法により成立する。したがってpk=1fk=1+(1c1)(1h)k.(2)
極限に必要な十分大きい n では 0<h=a/n<1 である。k=n としてfn(a)=cc+(1c)(1a/n)n.(1a/n)nea よりg(a)=cc+(1c)ea=ceacea+1c.(3)
x>0 に対しg(x)=g(x){1g(x)}.c=2 では g(0)=2g>1 なので単調減少し、上側から漸近線 y=1 に近づく。
c=1 では恒等的に g(x)=1 である。
c=1/4 では g(0)=1/40<g<1 なので単調増加し、下側から y=1 に近づく。
さらにg(x)=g(x){1g(x)}{12g(x)}より、c=1/4 の曲線は g=1/2、すなわち x=log3 で変曲する。
これらの情報から3本のグラフが一意に定まる。

総評

難度6、計算量5。非線形に見える差分方程式を逆数で一次化することが主眼。極限ではk=n、h=a/nの代入を明記し、十分大きいnで式が正則であることも確認した。3つのグラフは初期値、単調性、水平漸近線に加え、c=1/4では変曲点まで示している。 2つの解法は着眼点を分け、必要性・十分性、端点、等号条件を省略せず記述した。

冊子PDFで見る東大の数列の問題で問題集を作る

出典: 東京大学 2000年度 前期 理科 第3問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。